内容説明
ぼくはたんぽぽのわたげになろう。きみがそらへとばす―。いま、ひとりでいるあなたへ。内田麟太郎とうえだまことが贈る詩の絵本。
著者等紹介
内田麟太郎[ウチダリンタロウ]
福岡県生まれ。絵本作家、詩人。『さかさまライオン』(童心社)で絵本にっぽん賞、『うそつきのつき』(文溪堂)で小学館児童出版文化賞、『くじらさんのーたーめならえんやこーら』(鈴木出版)で日本絵本賞受賞
うえだまこと[ウエダマコト]
植田真。静岡県生まれ。画家。絵本や装画を多く手がける他、絵画制作、ライブペインティング、音楽など幅広く活動。『マーガレットとクリスマスのおくりもの』(あかね書房)で日本絵本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃちゃ
115
深い哀しみの淵に沈む人を前に、私たちはかける言葉を失う。どんな励ましの言葉も宙に浮いたまま、その人の心に容易に届かないことを知っているからだ。ただ、寄り添うこと、傍で痛みを感じること。「ぼくには ことばがない」で始まるこの絵本は、「大震災にあった子どもをはげます詩」だという。「ぼく」は、少女が吹き飛ばすたんぽぽのわたげになって、少女の言葉をひばりに届ける。うつむいたままの少女が一瞬でも空を見上げてくれるように。わたげを吹き飛ばす力が大空に届き、明日を生きる力に繋がるように祈りながら。2021/05/24
アキ
84
うえだまことの原画展に行ってきました。http://hibikikan.com/free/exhibition3 そこで朗読DVD上演会を体験しました。この絵本の詩は、内田麟太郎が2012年に震災に遭った子どもに向けて書いたものです。そこにうえだまことさんが素敵な絵を描きました。購入したのは著者おふたりのサイン本です。うえだまことさんのイラスト付きでした。うっとりするような時間を過ごしました。女の子がふいた風が、あなたの元へも届きますように。2021/06/26
ふぅわん
62
【顔をあげて欲しいから】大震災にあった子どもを励ます詩。セピア色の絵、ふと上を見上げてもらえるように繋がっていく絵と詩。優しいなあ。言葉で人を救うのは難しい。気持ちそのものをどう伝えるか、心を全て映しだせる言葉があればいいのに。人に寄り添うとは、この絵本そのものかも。2021/08/14
しゃが
60
内田さんが詩を書けない詩を書きはじめた詩の絵本だった、被災した幼い「君」に向けて。かける言葉もなく、寄り添うだけ、思いついたのはたんぽぽになる、ゆうびんやさんになる、たんぽぽのわたげになる、ひばりに、そして、きみのいのちがじぶんでこしらえたちいさなかぜがふいた。うつむき加減の君が、顔を上げて感じたものは柔らかな自然なのか、ゆるやかな未来なのか、優しいおとなの思いなのか。おちついた色使いの絵も読み手にも安らぎを…。 2021/03/12
とよぽん
50
内田麟太郎さんの「詩」、うえだまことさんの「絵」ともに心を打つ素晴らしい絵本です。2021年2月に発行。東日本大震災から10年、内田さんの「気持ち」を伝えたくて書いた詩とのことです。その詩を、私は書き写しました。何度も読んで、私にできることは何か考えます。内田さんの「あなたのところへも、小さな風がとどきますように。」の識語も慈愛に満ちています。2021/05/28