内容説明
勉強ができない、スポーツも苦手な誠一郎少年は、先生に励まされて絵描き、作家になろうと志しますが挫折します。飲食店を開業し成功・繁盛しているとき、左手のない老画家と出会います。「自分は戦地から帰ってきて絵描きになれたが、絵が好きで画家になりたかった仲間たちがたくさん戦争で死んでしまった」とくやしがっていました。戦没画学生の遺族をたずねる旅がはじまります…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
200
あと10分、あと5分でいい、この絵を描いていたい。生きて帰ったら必ずこの絵の続きを描くから。…人生を戦争に翻弄された。絵を愛し戦死した方々の心を詰め込んだ、長野県上田市の無言館。胸がつまる。その絵の前に言葉はいらない。無言で語りかけられる。…今読んでいる本を途中で取り上げられたら、読む機会を永遠に奪われ人生を破壊されたら、どんな気持ちになるのでしょう。もっと描きたい、もっと読みたい、もっと生きたい。全ての命を大切にすること、優しくすること、思いやること、希望をもって生きることの素晴らしさを教えてくれます。2021/08/08
ヒラP@ehon.gohon
7
この絵本を見るまで、無言館の存在も知らなかったのです。 戦没画家の作品の収集の意味、作品たちに込められた命の叫び、遺族の思い、様々な重さが伝わってくるのですが、この絵本は窪島さんの生きてきた軌跡そのもの。 窪島さんの生い立ちから、画家との出会いそして、戦没画家を訪ね歩くまでがぎっしりと埋められています。 窪島さんにとってどこかに宿命があったのかと思います。 私も無言館を訪ねなければという思いにされられた絵本でした。2010/10/27
Misa
6
長野県にある「無言館」という美術館がどうしてできたのかを小、中学生にも分かりやすく語られています。「ずっと描いていたい、この絵を完成させたい」と思いながらも戦地へ赴き、帰れなかった画学生さんたちの悲しみと、そんな戦没画学生さんの絵を集め続けた作者の思いが胸を打ちます。 たくさんの子どもたちに読んでほしいけど、手に取ってくれるかな〜。どうやって置こうか。「あとがき」の約束までしっかり読んで欲しい作品です。2012/05/02
nekonekoaki
5
戦没画学生慰霊美術館「無言館」ができるまでの道のり。昭和20年8月、作者の幼少期から物語が始まります。もっともっと絵を描きたい気持ちを持ったまま生命を散らした若き画学生たちの作品を訪ね、全国を歩いて集めた絵や彫刻は、現在長野県上田市にある上記美術館にて観ることができます。2010年6月10日初版発行。2024/11/04
チェアー
4
父や母は金をもうけるだけの人生は幸福じゃないと分かっていた。だから無言館を作る、と聞いたとき、自分のことを分かってくれたように感じて、とても安心したのだろう。 私達も約束をしないといけない。不戦の約束。戦争をしようとする人たちと、戦争でないやり方で戦うこと。2021/07/24
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