よみがえった奇跡の紅型

中川 なをみ【著】

あすなろ書房（2019/11発売）

• サイズ 46判／ページ数 200p／高さ 20cm
• 商品コード 9784751529430
• NDC分類 K753
• Cコード C0095

内容説明

沖縄を代表する伝統工芸の紅型は、琉球王朝時代に完成しましたが、明治末期には衰亡の一途をたどっていました。独特の美しさに関心を持った鎌倉芳太郎は、紅型の研究と型紙を収集し、貴重な資料を残しました。沖縄戦後、城間栄喜は、瓦礫の中から奇跡的に紅型を再生させました。紅型に魅了された芹沢〓介は、型絵染という新たな道を拓きました。

目次

１章　琉球王国で生まれた紅型
２章　沖縄の歴史（薩摩の琉球侵攻以前；琉球王国の解体まで；第二次世界大戦まで；第二次世界大戦から現在）
３章　研究者を魅了した紅型“鎌倉芳太郎”（はじめての沖縄；幸運な出会い；再び沖縄へ；復興の手がかり）
４章　よみがえる紅型“城間栄喜”（紅型宗家に生まれて；戦争へ；復興への道）
５章　発展する紅型“芹沢〓介”（画家を夢見て；柳宗悦との出会い；沖縄旅行とその後）

著者等紹介

中川なをみ［ナカガワナオミ］
山梨県生まれ。『水底の棺』（日本児童文学者協会賞受賞）、など歴史読み物を多く手がける。『よみがえった奇跡の紅型』は、初めてのノンフィクション作品（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[へくとぱすかる]

ひと目見ればそれとわかる染物。色彩の鮮やかさは日射しの強さにとても似合う。王朝滅亡による衰退から、沖縄戦による壊滅的被害をへて、紅型がよみがえるまでに、隠れた先駆者の努力があった。食べることが優先だった時にも、紅型に沖縄の心を見て、好意をもってくれた人々もいた。このあたりを読むと何ともうれしい感情がこみあげてくる。鎌倉芳太郎の研究と、城間栄喜の苦闘は特筆もの。戦災で写真すら焼失した首里城が、１９２４年頃に鎌倉が撮影し、防空壕で東京の空襲から守ったガラス乾板から再現されたとは、何という歴史の流れだろうか。

2021/11/19

[あたびー]

明治から戦後の動乱期、鎌倉芳太郎、城間栄喜、芹沢銈介の3名が琉球紅型の美しさに触れ、その魅力の虜となり、技術の復興を成し遂げた過程を描く。作者は児童文学者でもあるので、文体は平易でわかりやすく、ルビも多用されていて読みやすい。日本政府が、戦争が、琉球の文化を破壊し、そのままであったら失われてしまったであろう美を、残し復興させた三名の偉人の働きに、一生徒として感謝する。

2023/06/18

[退院した雨巫女。]

《私-図書館》紅型の歴史等がわかった。琉球(沖縄県)ばかり、つらい歴史を辿ることになったのだろう。最後が、首里城の焼失なんて。

2020/05/26

[ツキノ]

（Ｅ-102）なにげに読み始めたら引き込まれて一気に読了してしまった。琉球で発達した「紅型」（びんがた）という染色方法。関わった３人について、琉球の歴史について、わかりやすく丁寧に描く。文章がすっと頭に入って来る。児童書として作られているからだろうか。文体がとてもいい。沖縄は修学旅行で行く高校生が多いが（近辺の話）この本もぜひ読んでほしい。沖縄を知るのに欠かせない1冊だ。カラーページもあり美しさに魅せられる。しかし３人の情熱が凄い（描き方がうまい！）。キーパーソンとして柳宗悦の強い存在感があるのも印象的。

2020/05/03

[菱沼]

芹沢銈介は私と同じ静岡出身の人。実家にも、この人のデザインした座布団カバーがあった。紅型は沖縄だけでなく、本土の、そして海外の人まで魅了した。つくる人とその価値のわかる人が出会えた幸運を思う。

2020/07/18