内容説明
ヘビ石、雷石、そして、悪魔の足の爪とは…?19世紀後半、迷信とキリスト教信仰に支配されていた世界は、ダーウィンの「進化論」の登場により、音を立てて変わろうとしていた。古い石ころにしか見えないコプロライトが、良質な肥料であることがわかり、グランチェスター村は一変。苦境に陥ったエルウッド家を救ったのは、ビルのするどい観察眼と、物事の本質を探ろうとする類まれな知的好奇心だった…!化石発掘にすべてをかける、少年たちのスリルあふれる冒険物語。
著者等紹介
グッドハート,ピッパ[グッドハート,ピッパ] [Goodhart,Pippa]
イギリスのケンブリッジ郊外、グランチェスター村で生まれ育つ。インピントン・ビレッジ・カレッジ卒業後、児童書専門店で働きはじめ、その後、教師のかたわら作家として活躍。絵本の原作から小説まで100冊以上を上梓。代表作にローラ・オーウェン名義で出版した「Winnie the Witch」シリーズがある
千葉茂樹[チバシゲキ]
1959年、北海道生まれ。国際基督教大学卒業後、児童書編集者を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
98
150年ほど前の英国の田舎が舞台。父の失業、母の病気、友人の窮状と、辛い思いばかりの少年ビル。思いがけない事件や家族の秘密といった仕掛けは面白く、ビルの知的好奇心がふくらんでいく様子も良かった。ただ多くの大人が感じ悪くて、中でも母親の態度には腹が立った。けどそれこそが当時のリアルなのかもしれない。ビルの家族以外はほとんど実在の人物らしい。2018/02/17
☆よいこ
49
YA。1850年代のイギリス、グランチェスターの物語。花の栽培を中心に農業を営んできた貧しい農村でコプロライトの鉱脈が発見され、産業の形態が変化し始める。コプロライトとは古代生物が半化石化した地層でいい肥料になるもので、産業革命下のイギリスで大量の食糧生産を支える重要なものだった。13歳のビルは職を失った父と病弱な母を支えるために採掘場で働き始める。採掘場でたまに見つかる化石を売るとお金が稼げると気づいたビルは化石に興味を持ち始めた。▽貧しい少年が絶望の中でも希望を見つける物語。面白かった。2019/10/30
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
16
19世紀後半のイギリス。主人公のビルは13歳。最近村は、コプライト(良い肥料になるので高額で売れる)のせいで変わってきた。父さんの雇い主も、土地を業者に売ることを検討しているので、父さんが失業しないように、品評会優勝を着色ダリアで成功させるが、不正とされ失業してしまう。そんな時、コプライトの採掘夫として母の妹一家がやってきて、同い年のアルフと仲良くなる。ビルもコプライト採掘の下働きにでると、笑ったワニのような化石を発見、アルフと共にこっそり堀りに行った夜に放火があり、アルフの父が犯人として逮捕されたが…2019/12/03
ゆーかり
16
ケンブリッジ近郊グランチェスターに暮らす少年ビル。何か変だと思ったら現代ではなく1860年代が舞台の史実も混ぜたお話でした。地下深くに化学肥料となるコプロライトが埋まっている事が分かり変わりゆく村。家計を助け働くビル、なぜかビルや実の妹に冷たい母、ダーウィンの進化論、教会、放火事件。ラストに意外な事実。多くの事を学び知らない人たちと出会い、新しい考察そして自由を得る。前向きだ。原題 The Boy Who Dug Up A Dragon しかしこれ、ネット検索してもヒットしない。私にはこれが謎。2018/01/30
そらこ
7
1860年代、英国グランチェスターが舞台。主人公と家族以外はほとんど実在した人物。13歳のビルの家は貧しい上に、園芸家の父親は失業する。ビルはコプロライト(粉砕化石肥料)の採掘場で働き始め、そこでみつけた化石が売れると知り、従弟のアルフと化石探しをはじめる。「種の起原」が出版され、科学が神を脅かしはじめた時代の人々と暮らし、化石発掘、恐竜の知識を、ビルに次々と起こる事件と出来事で、こんなにも面白く読ませてくれるとは! 母親に寄せるビルの思いは切なく、化石への好奇心は未来への広がりを感じさせる。五つ星。 2018/02/02