著者等紹介
松田哲夫[マツダテツオ]
1947年、東京生まれ。筑摩書房の書籍編集者として「ちくま文庫」「ちくま文学の森」「ちくま日本文学全集」「ちくまプリマー新書」を創刊する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鷺@みんさー
30
この手のアンソロジーにしては珍しく、知らない話も多かった。わかりやすい「怖い話」というより、いわゆる「意味が分かると怖い話」系。不安なままオチを最後までは明かさず、読者をおいてきぼりにする。ロアルト・ダール「女主人」はやはり上手い。ダールはほんと多才だ。ブッツァーティ「なにかが起こった」も、典型的な「わからないままひたすらずっと不吉で不安で怖い」話。いい。そして白眉はクロフト・クック「園芸上手」だった。初めて読んだんだけど、「私は園芸上手だからどんな難しい植物だって根付かせられるわ」という婆さんがry2017/10/31
sankichineko
12
それぞれの作家が競い合うように、趣向を凝らした恐怖を堪能出来ます。平凡な日常生活に潜む恐怖、過去から迫る恐怖、意外な結末を迎える、ちょっとユーモラスな恐怖・・・。寝る前に読むと、素敵な悪夢を見られそうです。 2019/06/02
海恵 ふきる
11
ちくま文庫を創刊した松田哲夫さんの編集による、小学生向けと銘打たれてはいるが、むしろ大人向けに書かれたであろう上質な短編の数々が並ぶ。実にさまざまなタイプの恐怖を網羅している。全14編のうち、特に怖いと思ったものを2つ挙げる。コストラーニ=デジェーの『水浴』 は、うららかな午後の陽気の描写の中で心臓がひりひりするような純粋な絶望が際立つ。三島由紀夫の『復讐』は、居心地の悪い家庭の雰囲気を描くことで終始緊張感を持たせ、最後2行の衝撃が与える効果を最大限に引き出している。2020/07/07
猪子
9
『小学生までに読んでおきたい』とありますが、大人が読んでも十分に楽しめる作品ばかりです。むしろ作品によっては、子供より大人の方が読んでゾッとする話がありました。ちょっとした親の気まぐれで大変なことになってしまった『水浴』は、子供が春休みに突入し、イライラばかりしている自分を戒めるようでした。2022/03/24
訪問者
7
ブッツァーティの数ある作品の中でも最も印象的な「なにかが起こった」、まさかと思う方向に話が進むE・テイラー「蝿取紙」、A・ダーレス「寂しい場所」、R・クロフト=クック「園芸上手」と素晴らしい怪奇小説が続く。2024/02/28