内容説明
内戦で故郷を追われた少年サルヴァと家族のための水汲みで一日が終わってしまう少女ナーヤ。一見、無関係な二人だったが…。スーダン内戦の実話をもとにした物語。
著者等紹介
パーク,リンダ・スー[パーク,リンダスー][Park,Linda Sue]
1960年、アメリカ・イリノイ州生まれ。スタンフォード大学英語科卒業。『モギ:ちいさな焼きもの師』(あすなろ書房)で、2002年度ニューベリー賞を受賞
金利光[キムイグァン]
1945年、広島生まれ。京都大学英米文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Willie the Wildcat
45
サルヴァとナーヤ。世代を超えても不変の夢や希望。贅沢品ではなく、生きるための必需品。違いは、時勢に応じた夢や希望への距離であり道のり。物心両面での距離であり道のり。悲しいことも楽しいことも、成長の過程。愛情が信じる力を養い、信じることが道を拓く。加えて、違いが融和されるのも”過程”のハイライト。民族、宗教の違いを踏まえた共存。意識から無意識への過程。これを生み出すのも魔法の泉。2人が繋がったことを信じたい!2016/10/04
ぱせり
10
一歩一歩、また一歩、と励ましながら読んでいたはずなのに、いつのまにか、こちらが声をかけられ、励まされているような気がしてきた。足もとだけを見ながらただ次の一歩だけを考えて、もくもくと歩を進めてきた少年は、いつの間にか、驚くほど遠くまで歩いていた。さらに次の一歩を踏み出そうとしている。2012/09/11
Yoshitomo Kurokawa
9
私が生まれてから、ジャンプを読んだり、ファミコンをしている間に、世界では延々と歩き続ける人もいたのかと思うと、とても価値観が合う気がしない。本当に戦争は嫌だ。2013/11/28
杏子
9
一歩、一歩また一歩…と。サルヴァの叔父さんの言葉が心に残る。その言葉の通り困難な日々を乗り越え、サルヴァは同じ苦しみをなめる人々の役に立とうと奔走する。世界は広い。こんな辛い生活を強いられる人々がいただなんて。遠い昔の話ではないのだ。今も、まだ世界にはこんな人々がたくさんいる。平和で便利な世の中に生きる若い世代にこの物語はどう受け止められるのだろう。魔法の泉への道…世界中の人々がみな見つけられるといいな。2013/07/17
neimu
8
日本の青少年が読んでどこまでこの話を受け止めることができるだろうかと不安に思いながら読み進めた。内線、逃避行、難民キャンプの生活、渡米、養子として受け入れ先での生活、父親との再会。おそらく私も含めて戦争を知らない世代が知ることができない世界をほんの少し垣間見て、どんなふうに感じるのだろう。自分自身の狭い生活の中で、ネットの世界は広がっても、現実に世界への視点を持つことが難しい今…。図書館本。2012/12/20