出版社内容情報
ベストセラー『種をまく人』に続くフライシュマンの新作。アメリカの四隅に〈風の人形〉をたてるために、ブレントは旅に出る。 中学生~一般
内容説明
アメリカ大陸の四隅に「風の人形」をたてること。それがブレントにできる、たったひとつの償いだった。ワシントン州、カリフォルニア州、フロリダ州、メイン州…アメリカ大陸を西へ東へさまよう一万三千キロの旅。ひびわれたティーンエイジャーの魂が潤いをとりもどし、再生していく姿を描いたロード・ムービー。1998年度パブリッシャーズ・ウィクリー誌ベストブック。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そらいろ
7
【図書館】自殺するつもりが、同世代の女性を死なせてしまったブレント。彼女を模した人形をアメリカ大陸の四隅に立てようと、贖罪の旅に出る。それ迄は女の子、流行りの歌、ファッション、周囲の評価を気にしていた十代の少年。未熟な精神と膨れ上がる自我、アップダウンの激しい感情を抱える十代の世界・価値観が、犯した罪の重さ、やり遂げる事、出会った人々、自然によって大きく変化する様子がシンプルに、ストレートに伝わります。四州の旅の合間、立てた人形が他者に変化を与えた物語が挟まれ、ブレントもその人達も互いを(続く)2014/12/31
あんぐる
5
無分別な行為から生涯をかけても償いきれない罪を背負うことになった16歳のブレントは、思いもよらぬ旅に出ることになる。アメリカの四隅に自作の風の人形(風車)を立てる奇妙な旅へ。真の絶望と悔恨と哀しみの中に投げ出された人間の生きる意味とは? 生きる希望とは? 作者はそれらをブレントの心情を通して、まさに風のごとくペンを走らせる。風をこれほど見事に綴る物語に出会ったのは初めてだった。単なる贖罪の物語ではなく、覚悟のロードムービー。本編の間に関連性のある短編を挿入し、全編に深みを生む構成も珠玉。2009/12/10
ゴ
4
本当に良い話だった。嫌な意味ではなく、教科書に載ってそうな感じ。さらっとしてて深くて主人公も魅力的。表紙の装丁も素敵。2017/03/09
Eu
3
「フライシュマンさん、あなた最高だわ!」って海に向かって叫んじゃりたい。2019年に極東の島国である青年が日本語でこの本を読む、って想像できました?って訊いちゃりたい。2019/02/07
kiki
3
16歳の少年が、自分の犯した罪の償いとして託された事… それは、死なせてしまった少女の顔をした「風で動く人形」を、アメリカ大陸の四隅に立てること。 それをやり遂げていく過程で再生していく少年と、その人形を見て心動かされる人たち。 まわり続ける風が救いをもたらし前向きな気持ちにさせてくれる、重いけれど心にしみ、じっくりと温かい気持ちにさせてくれる。