内容説明
地球の滅亡、感染症、種の絶滅、大量消費…『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』の人気作家が放つ初めてのSF短編集。文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。
著者等紹介
チョンセラン[チョンセラン]
1984年ソウル生まれ。編集者として働いた後、2010年に雑誌『ファンタスティック』に「ドリーム、ドリーム、ドリーム」を発表してデビュー。13年『アンダー、サンダー、テンダー』(吉川凪訳、クオン)で第7回チャンビ長編小説賞、17年に『フィフティ・ピープル』(斎藤真理子訳、亜紀書房)で第50回韓国日報文学賞を受賞。純文学、SF、ファンタジー、ホラーなどジャンルを超えて多彩な作品を発表し、幅広い世代から愛され続けている
斎藤真理子[サイトウマリコ]
1960年新潟生まれ。韓国文学の訳書多数。『カステラ』で第1回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pohcho
54
韓国作家のSF掌編・短編集。ディストピアなんだけど、ポップでロマンチック。クスッと笑ってしまうような可笑しみがあり、そこはかとなく漂うトホホな風情に親しみを感じる。巨大ミミズやゾンビなどの突飛な設定も私は好き。以前に読んだ「アン・ウニョン先生」を思い出した。2021/09/08
星落秋風五丈原
42
『リセット』地球滅亡、今回の場合は何と空から巨大ミミズが降ってきた!ミミズといえば食物連鎖の最下位に位置し、鳥やモグラに食われる運命にあるのに、地球を滅ぼすほどの力があるとはおみそれしました!いや、そもそも土を食うのに人間を滅ぼせるのか?いきなり肉食獣化?にしてはあのビジュアルのまま?さて、そんなミミズはどこからやってきたのか?答えはWEBで、じゃなくて本作で。『メダリストのゾンビ時代』オリンピックがコロナ禍で大変な事になっているが、こっちの世界でもゾンビが出没し大変な事に。2021/07/14
ズー
22
チョンセランさんのSF!他の作品もたまにSFみを感じたりしたが、自身もおっしゃる通りお得意なんですね☺️環境問題を考えたものが多く、コロナ禍を思わせるような作品もあったり。どれもキャラがなんか魅力的なのよね。やはり表題作の「声をあげます」が抜群に面白かった。まさかの人魚姫を思わせる作りがこれまた突拍子もなくファンタジーで素敵。2021/07/15
Rinarnation
21
噛めば噛むほど旨味が出るスルメイカのように読めば読むほど引き込まれて気付かされていく。必ず未来はある。物語の登場人物全員が幸せであってほしいと思わずにはいられない優しい気持ちが込み上げてくるのが、チョンセランの物語だと思う。人と人との間に流れる独特な雰囲気、繋がりなんていうものがどんな時代、世紀になってもあるんだと信じさせてくれて、だから私も人との優しい繋がりを大切にしようと思う。表題の「声をあげます」最後、本当に鳥肌が立ちました。やられた。さすがチョンセラン!と、思わずにはいられなかった。次作も楽しみ!2021/06/20
K1
17
会いたい人がいる。その人に会えたとしても、声帯除去手術を受けたスンギュンにはかける声がないー執刀する医師は本当に医師なのか? 麻酔をかけられ、冷たい手術台の上で残した言葉は「声をあげます」。2021/07/21