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内容説明
写真家にして、一人の母親が撮り、料理してきた獣たちの「死と再生」のドキュメント。罠を掛け、犬を放って、銃で撃つ。自然の命を殺して、食べて、生きていく―長崎と佐賀の里山で狩猟者と過ごした時間、獣の死と皮革にまつわる「穢れ」の考察、そして、野生肉をめぐる思索と料理の記録。
目次
序章 獣の解体と共食(死を目撃すること;接続した瞬間 ほか)
第1章 おじさんと罠猟(あたらしい生活、あたらしい肉;金のネックレスにサングラス ほか)
第2章 野生肉を料理する(“ワタシの猪”が死んでいく;絶対おいしく食べてやる ほか)
第3章 謎のケモノ使い(犬と猟をする中村さん;猟犬と猿、爬虫類に烏骨鶏 ほか)
第4章 皮と革をめぐる旅(ケモノは“毛もの”;毛皮を脱ぐことを選んだ人間 ほか)
著者等紹介
繁延あづさ[シゲノブアズサ]
写真家。兵庫県姫路市生まれ。桑沢デザイン研究所卒。2011年に東京・中野から長崎県長崎市へ引っ越し、夫、3人の子どもと暮らす。雑誌や広告で活躍するかたわら、ライフワークである出産や狩猟に関わる撮影や原稿執筆に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
73
食べるとは、どういうことなのか?何を食べるのか?それは、どういうもので、どういう存在であるのか?を、考える。生命として抗うものとしての獣と、それを狩る猟。そこにあるものを感じ取れるのか。それぞれの存在を、関係を考える。美味しく食べてやるという言葉に、たくさんのことがこめられている。ありがたいとは、どういうことか。ページをめくる手が止まらない本は、そうそうない。2023/11/30
さすらいの雑魚
47
最近界隈で流行りな狩猟ノンフィクションの逸品です。写真家の著書なので本人撮影の生々しくも精気溢れる獣と肉とその間の写真が挿絵がわりに使われてます。さすがはプロの作品だと雑魚は感心しきりなのです♪ 写真家は狩猟を追い獣肉を喰らう日々のなかで浄めと穢れの交錯する狩猟曼荼羅を彷徨い己の業と向き合う。 山界に惹かれながら平地に留まる魂の揺れが見てとれる秀逸なノンフィクションに仕上がってます。2021/09/01
あかぽち
18
狩友さんに教えてもらった本。作者さんはカメラの人でみずから狩猟はしないけど、近所のおじさんから獣肉をもらった事から狩猟の世界に引き込まれていく。フェアな見方をする方だな、と感じた。皮革の白なめしの旅は特に面白かった。あれも食べられるのかー!2023/01/10
ようはん
16
屠畜や鹿や猪の狩猟を題材とした本はいくつか読んだが、仮に自分が狩った獲物を殺して体を剥ぐとなると抵抗感は相当あるなと感じさせる本。著者は写真家で知り合いとなった猟師から獣肉を貰い、狩りに同行してのルポであるがスーパーで売られている肉の印象が変化したというのが印象深い。2021/02/15
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
14
狩りガールの猟体験記かと安易に手に取った私を許してください。東京から意味なく長崎に引越し、猟師さんとの出会いにより獣肉生活がスタートした著者。肉食に対して「命をいただく」的な手垢のついたフレーズは所詮パック詰めされた肉をスーパーで買うしかない民がせいぜい食べ残ししないを戒めるためでしかなく、屠畜を残酷とか言うのも同じ。つまり養殖されたものではなく「狩る」。農業が生まれた時点で地球上の生態バランスは崩れているそう。養殖された家畜を手にかけたぐらいで命と向き合うみたいなことを言うのはおこがましいのだろう。→2020/11/02