内容説明
世界中で愛される漫画を終生描き続け、桁違いの成功を収める一方で、常に劣等感にさいなまれていた天才漫画家。その生涯を、手紙やメモなどを含む秘蔵資料と親族・関係者への取材により描き出す。作者の人生と重ね合わせることで漫画の隠された意味を解き明かし、アメリカで大きな話題を巻き起こした決定的評伝。「PEANUTS」を何倍も楽しむための必読書!
目次
第1部 北西部
第2部 神の子
第3部 中西部
第4部 西へ進んで
第5部 全盛期
第6部 たったひとりの帝国
著者等紹介
マイケリス,デイヴィッド[マイケリス,デイヴィッド] [Michaelis,David]
ジャーナリスト、伝記作家。1957年ボストンで生まれる。プリンストン大学卒。ニューヨーク在住。妻はドキュメンタリー映画の製作者ナンシー・スタイナー
古屋美登里[フルヤミドリ]
翻訳家、書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
74
谷川俊太郎氏訳のシリーズに幼稚園で出会い、アメリカ文化への入り口となった『PEANUTS』。無休で働く姿勢は父譲りであり、最終話を目にした時は、自然グッと来た。ディズニーではなく画家養成学校を選択したのが最大の転機。作品イメージとは対照的な家族との関係性。特に子供たちとの件は、読むのが辛かった。加えて、Lucyは奥様のイメージとなる書きっぷり。この辺りがControversialなのかと推察。漫画はもちろんだが、様々な写真が掲載。因みに、私が好きなキャラクターは、今も昔もPeppermint Patty!2020/03/11
ぐうぐう
33
『ピーナッツ』を描いたチャールズ・シュルツの伝記だが、油断して読み始めると、とんでもない目に合わされる。シュルツの陰の部分にも果敢に足を踏み入れた結果、『ピーナッツ』の読者からは「こんなシュルツを見たくなかった」と波紋を呼び、遺族からは事実と反すると批判もあった本書は、と同時に大きな収穫ももたらせた。それは、『ピーナッツ』がシュルツの内面を正直に映した、赤裸々な告白漫画だったということを明らかにした点だ。父と母への屈折した感情、それにより歪んだ自身の性格、人としての、漫画家としての苦悩や自問、(つづく)2020/12/21
ヒヨドリスキ
8
変人漫画家とスヌーピー好きな私には堪らない一冊。シュルツが影響を受けた両親、孤独だった少年時代と従軍・就職しながらの投稿活動。一度された非難は決して忘れない執着型の性格、決まった1日を繰り返し旅行や飛行機を嫌い、愛されても信じられない自己肯定感の低さ。頑固で偏屈な性格や成功を重ねても貪欲な出世欲にも驚くけど、やはり印象的なのは家族との関係性。最初の妻はほぼルーシーのモデルでエネルギッシュで活動的。夫婦生活が破綻してもそれが執筆のエネルギーになっていた皮肉。そして支えてくれた妻を裏切りW不倫からの再婚…!2022/05/24
vonnel_g
5
子どもの頃ぬいぐるみを貰って以来のミッキーマウスよりスヌーピー派としては読まねばならないと思って読んだ。よくここまで書いたな。スポーツも勉強も優秀でそれなりにルックスも良く絵もうまいけれど自己評価の低さゆえに異性との距離の測り方がうまく行かないというのはどこでも割とある話。スヌーピーの名前がノルウェイ語(母親がノルウェイ系だから)由来という話に一番感心する。全集買おうかと思っているのだけれど、今までと同じようには読めないな。2020/01/19
浅西マサ
4
著者がシュルツ家に綿密な取材をし完成させたら、赤裸々な内容まで描いているので協力した遺族がご立腹されたある意味評伝の決定版。スパーキーの魂をもつ男がシュルツとして成功しても、スパーキーの内面は他者と打ち解ける事はなかったという著者の解釈はおそらく当たっているのだろう。子供の頃peanutsを読んでは「何故こんなに嘆いているのだろう」という疑問を持った読者だった私には、シュルツ氏の当時の行動から表現したであろうpeanutsの漫画を並行した書籍の表現に感心。翻訳が完成されてからの10年後の刊行に感謝しかない2020/02/22