出版社内容情報
幻想文学の傑作が新訳・美麗装幀で蘇る。アイルランドの吸血鬼伝説を取材し1872年に発表された怪奇小説。貴族的、美形、棺桶で眠る、心臓に杭を打たれて死ぬなどの特徴は『吸血鬼ドラキュラ』に引き継がれ吸血鬼の原型となった。
内容説明
美しきヴァンパイアに魅入られた美しき乙女。恐怖と陶酔に満ちた吸血鬼小説の傑作にして百合小説の古典、待望の完全版新訳!
著者等紹介
レ・ファニュ,ジョゼフ・シェリダン[レファニュ,ジョゼフシェリダン] [Le Fanu,Joseph Sheridan]
1814‐1873。アイルランド人の小説家。怪奇小説とミステリーを得意とし、特に19世紀以降の短編小説のジャンルに大きな影響を与えた
長井那智子[ナガイナチコ]
東京都生まれ。青山学院大学卒。翻訳家。スペインに6年、オーストラリアに4年、イギリスに6年在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青蓮
89
「魅惑の古典ホラー」と言うことで読んでみました。吸血鬼と言うと紳士に扮した男性が美女を襲う、というイメージがあったで、本作の女吸血鬼は新鮮でした。「百合小説の古典」でもあるらしく、どんなものかなと思っていましたが、割りとあっさりで百合かどうかは微妙な感じ。ローラの手記という形で物語が進むせいか、カーミラの最期がちょっと呆気なかった気もしますが、なかなか面白く読みました。勝手な想像ですが、映像化したら凄く美しいものになりそう。映画で見てみたい。2015/10/03
えみ
67
あの『吸血鬼ドラキュラ』の生みの親ともいわれていて、ドライヤー監督の映画『吸血鬼』の原案にもなった古典吸血鬼小説。なんと、最初に発表されたのは1872年!日本は明治5年で太陽暦が初めて採用され、富岡製糸場が設置された年だったような…そんな時代に凄い発想と怖いくらい人を惹きつける怪異をこんな妖艶な物語にするなんてセンスがあり過ぎ!美しき吸血鬼・カミーラ。愛を囁き、執着を見せ、妖しい魅力で一人の少女を虜にする。王道の吸血鬼小説でありながら、カミーラという美少女の不可思議な吸引力でまた新たな物語として楽しめた。2022/08/21
カフカ
55
オーストリアの古城に住む、美しき令嬢ローラと、美しき吸血鬼カーミラの甘美で妖しい関係。 日に日に生気を奪われ死に近づいていくも、蠱惑的なカーミラにうっとりと惑わされてしまうローラ。終始妖しくまとわりついてくる空気に酩酊感を覚えるようだった。美しい少女たちの、残酷で耽美なゴシックホラー。かなり好みな世界観でした。須永朝彦『天使』がお好きな方はきっとお好きだと思う。 最後まで明かされなかった、カーミラの母親の正体が気になります。 2023/08/29
雪紫
37
怪奇というより幻想(いや、ラストはゾクッとしたけど)。カーミラの妖しい描写やローラへの接触にはドキドキしたり、切ない気分になってしまう。作者は吸血鬼に性別はないのでレズビアン小説を否定したみたいだけど・・・明らかに抜け道レベルなので、この作品は百合小説に一票です。それはそうと、ガラスの仮面、やっぱり思い出さずにいられない(あっちのカーミラは演者の影響である意味スカッとな話だけどね)。・・・そう言えば両方とも母親らしき人は謎のままで終わったなあ。2020/02/27
小夜風
30
【図書館】カーミラといえば私も「ガラスの仮面」を思い浮かべましたが、私は小学生くらいの時に「紅い絹の淑女」というマンガで知りました。その後「ポーの一族」や「屍鬼」にハマったのも、カーミラが原点だったように思います。でも、吸血鬼に襲われた者もまた吸血鬼になる……筈なのはどうなるのかな?周囲で亡くなった女の子たちとか、カーミラを送ってきた伯爵婦人とか、その辺解決してないけど良いのかな~?「紅い絹の淑女」では最後どうなっていたか……思い出せません(苦笑)。2015/11/10