内容説明
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年「幸福な遊戯」で第九回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で第一八回野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で第一三回坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で第二回婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で第一三二回直木賞、07年『八日目の蝉』で第二回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 7件/全7件
- 評価
新聞書評(2013年3月~2014年12月)の本棚
- 評価
テレビで紹介された本・雑誌の本棚
- 評価
新聞書評(2019年)の本棚
- 評価
新聞書評(2017年)の本棚
- 評価
新聞書評(2018年)の本棚
- 評価
新聞書評(2020年1月~3月)の本棚
- 評価
-
園子本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1288
希和子には拭いがたい過去があり、そして痛切なまでにかけがえのない現在がある。しかし、彼女の未来は永遠に閉ざされていた。そして、その語りを受け継ぐ恵理菜には茫漠たる過去があり、あてどのない現在が横たわる。時間はまことに残酷だ。しかし、「産むこと」がかろうじて未来への曙光を見せる。それは、希和子がとうとう果たせなかったことであり、また恵理菜にとっての疑似的な反復であった。そして、その一方には家庭の崩壊があり、小説の全体を覆うトーンは限りなく暗い。薫を喪った希和子の心情が、果てしない儚さを喚起しつつ読者に迫る。2016/09/03
HIRO1970
943
⭐️⭐️⭐️題名に惹かれて手に取りました。角田さんはお初です。私自身は男の子を2人育てています。以前から女の子は丈夫で手が掛からないとは聞いてはいましたが、母子手帳が無いのに4歳まで一度しか病院に行かずに済むのにはいささか面食らいました。これなら女の子なら4〜5人いても育てるのは可能かもと思われました。(男の子は最低でも年に5回は病院通いが必要だと経験上思っています。)この作品には頼りになる女性は大勢出てきますが、男性はダメ男ばかりで全く頼りにはなりません。日本の人口増加よりもリアリティがある話でした。2015/10/25
遥かなる想い
806
永作博美・井上真央主演で映画化され、本屋で大々的に置かれているのもあり購入した。最初は子供を誘拐して育てた母の物語であった。ところが逮捕された後の第二章は誘拐された子供の物語であり、それが誘拐犯の人生と 微妙にクロスして最後のラストに繋がっていく…角田光代はこの物語で何を描きたかったのだろうか…蝉は長い間土の中で生きながら外に出ると7日間で死んでしまう…本書のタイトルに込められた想いの ようなものが感じられる。2011/05/08
どんふぁん
781
2019年2月9日読了。作品の評判は聞いてましたので、どんな話かはわかってましたが、それは希和子サイドの話だけでした。薫サイドの話では、恵梨奈になってからの苦労と苦悩の日々が描かれてて、本当に大変だった内容でした。希和子の行動は女の私から見ても狂気の沙汰としか思えず、共感することは出来ませんが、薫として一生懸命育てた年月は嘘ではないと思います。恵梨奈も一生懸命生きてほしい、新しい命とともに。この作品を紹介してくれた方に、今度お礼を伝えよう。そして、近々小豆島に行こうと思います。2019/02/09
青乃108号
760
永作博美の主演した映画はDVDで随分昔にみた。永作博美が可愛らしい感じで好きだったから。角田光代の本は初めてで、脳内で誘拐犯の女を永作博美に変換しながら読んだ。これはしかし、男の俺には本当の意味での理解は難しい物語だ。途中でそう気付いたが最後まで読んだ。脳内の永作博美演じる誘拐犯をなんとかしてやりたかった。映画で唯一記憶してる永作博美のセリフ【その子はまだ朝ごはんを食べていないんです】。映画のオリジナルかと思ったが、原作にもちゃんと、あった。せつない。かえすがえすも永作博美をなんとかしてやりたかった。2022/02/23