出版社内容情報
柳田國男が見ようとしなかった非常民被差別民衆の生活民俗を生涯にわたって追求した著者の,兵庫県を中心に採録した民俗の歌の集大成。おおらかかつむき出しの性への笑いを核とした恋唄をはじめ,仕事唄,童謡などが幅広く収録された,資料的価値も高い一冊。
第1部 近世の民衆と抵抗の唄
一 近世民謡源流考
二 失われた青春への回想―お夏,清十郎物語の形成―
第2部 民謡・猥歌の民俗学
一 子守唄の一考察
二 子守「女」唄の発生と消滅
三 「草履隠し」について
四 民謡随想
五 民俗拾遺
六 加西郡童謡集
七 播磨に分布せる月の童謡について
八 夜笛考
九 続夜笛考
第3部 民謡・猥歌の風土記
一 温泉郷を探る
二 酒造唄の源流
三 信仰と唄との地方色
四 神戸の開港風景
五 古兵庫と新神戸
六 流行歌と替え唄
七 明石海峡の夢
八 東播六郡を歩く
九 民衆の生活と唄
十 農業と作業唄
十一 城の見える風土
十二 恋と愛と性の唄
十三 揖保の清流を下る
十四 集団と唄の作法
内容説明
民謡をあらゆる科学的方法を通じて保存し、記録する基礎的作業が、いまや焦眉の急にせまってきた。兵庫県には不幸にして、まだ信頼できる民謡集すらも作成されていない。せめて歌詞だけでも採集し、記録しておかないと、その機会すらもなくなるだろう。そういう機運をつくるために、本書で著者たちは県下に残っている主要な民謡、地方色に富んだ民謡のいくつかを紹介することにした。
目次
第1部 近世の民衆と抵抗の唄(近世民謡源流考;失われた青春への回想―お夏、清十郎物語の形成)
第2部 民謡・猥歌の民俗学(子守唄の一考察;子守「女」唄の発生と消滅;「草履隠し」について ほか)
第3部 民謡・猥歌の風土記(温泉郷を探る;酒造唄の源流;信仰と唄との地方色 ほか)
著者等紹介
赤松啓介[アカマツケイスケ]
本名は栗山一夫。赤松啓介は筆名のうちのひとつ。民俗学者・考古学者。1909年(明治42)3月4日、兵庫県加西郡下里村(現、加西市)生まれ。30年代から社会運動に従事しつつ、民俗学・考古学の著書・論考を発表。39年(昭和14)唯物論研究会事件で検挙。戦後、49年(昭和24)民主主義科学者協会神戸支部局長、57年(昭和32)神戸市史編集委員、68年(昭和43)神戸市埋蔵文化財調査嘱託。2000年(平成12)3月26日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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