内容説明
私たちは本当に服を愛しているか。光り輝くランウェイの先に広がるファッション業界の闇の奥で、『ティーンヴォーグ』の元エディターはどんな現実を見出したのか。ファストファッションの台頭を受け、加速するトレンドに疲弊する現場をたどった渾身のルポ。
目次
1 新着商品をもとめて
2 メイド・イン・アメリカの現実
3 ファッション界の#MeTooはどこへ
4 それ、ほんとに自分で選んでる?
5 インフルエンスの正体
6 ロゴに隠された秘密
7 グリーンは新しいブラック?
8 工場の外で起きていること
9 たかがファッション、されどファッション
10 これは本当に起こっていること
著者等紹介
ハーディ,アリッサ[ハーディ,アリッサ] [Hardy,Alyssa]
『ティーンヴォーグ』のエディター、『インスタイル』のシニアエディターなどを経て、現在はニュースレター『The stuff』の発行人。縫製労働者の権利やファッション業界の環境への負荷といった問題に強い関心を寄せ、精力的に情報発信を行っている。ニューヨーク在住
相山夏奏[アイヤマカナデ]
字幕翻訳を経て、現在はYAやロマンスを中心に書籍の翻訳を手掛ける
南出和余[ミナミデカズヨ]
神戸女学院大学文学部准教授。文化人類学、バングラデシュ地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
108
既製服を簡単に買える時代だが、裏で起こっている事実を知る人は少ない。途上国で大量生産された衣服が先進国に輸出され、ブランドや流行のマークがつくと数十倍数百倍の値で売れる。売れ残れば即座にゴミか古着と化し、途上国に逆流するか砂漠に捨てられる。生産する工場で働く労働者は低賃金で酷使され、女性は性的ハラスメントの対象となるが訴えることもできず、有名ブランドは知りながら利益のため見て見ぬふりをする。ファッション業界の表の世界で生きてきた元エディターが「こんな事態を続かせていいのか」と、隠された闇の実情を告発する。2024/03/20
くさてる
18
華やかなファッション業界の裏にある搾取の構造。それはきっとみんなが薄々知っていたことだけど、そこまで気にしない顔でいたことだ。それはすぐに浮かぶ発展途上国での搾取労働だけではない。プラスサイズモデルやマイノリティモデルもまたファッション業界の構造のなかで搾取されていること、大量に作られる服と廃棄の問題、業界で働く女性たちが受けるハラスメント……どれもが深刻で厳しい内容だけど、読み進めることができたのは著者の冷静な筆致とその醜い流れの渦に抗う人々の姿のおかげだった。2024/04/21
Erika
6
これはファッション界への告発文。かつてファッション業界で働いていた著者だからこそ語れる偽りの無い真実。不況の中でファストファッションは急激に成長した。そして使い捨て前提の大量生産とマイクロシーズンを採用する事で常に移り変るトレンドと新商品。消費者に飽きさせない仕組みが私達の購買意欲を促す。それらの服を生産する工場での虐待、ハラスメント、強制労働、不衛生な環境。それらによって多くの命が奪われた。そしてハイブランドはファストファッションよりも透明性が低いという事実。内容は衝撃的だが多くの人に読んでもらいたい。2025/01/04
あきこ
4
なんというか、憂鬱な気分になった。アパレル関係の搾取問題は常に社会問題となっている。それに気づいていても便利だからという理由で購入していた自分は貧しい人から搾取していたのか。それが日常化していて罪悪感のないまま。しかし不買運動をすれば貧しい人の仕事を奪うことになる。この強欲な資本主義はどうしたらいいのだろう。今現在地球の様々な場所で行われている人権の侵害は戦争の爆撃と同じように報道されるべき酷いことだ。2024/03/29
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