目次
第1部 戦後日本とアジアをめぐる文化交流とメディア(戦後日本の対外文化交流政策理念の模索と歴史認識問題の起源;歴史の忘却と抵抗の痕―一九六〇年代社会派ドラマの放送中止事件から)
第2部 現代映像作品にみる和解と葛藤(韓国映画における「総聯系」在日朝鮮人表象と和解;映画にみる日中戦争の記憶イメージとその可能性―国際受賞作への分析を中心に ほか)
第3部 現代日本におけるメディアと記憶文化(NHKスペシャル三〇年における“和解”;テレビの「八月ジャーナリズム」におけるアジアの表象―放送メディアに媒介される“和解”の契機と課題 ほか)
第4部 ヨーロッパとアジアの記憶文化比較(戦争・ホロコーストと帝国・植民地支配表象をめぐるメディアの正義と和解―ヨーロッパとアジアをまたぐ複眼的視座を求めて;「ホロコースト・ドキュメンタリー」―記憶と和解 ほか)
著者等紹介
浅野豊美[アサノトヨミ]
現職:早稲田大学政治経済学部教授。専門分野:日本政治史、東アジア国際関係史、国際政治学
丁智恵[チョンチヘ]
現職:東京工芸大学芸術学部准教授。専門分野:メディア史、在日コリアン研究
福間良明[フクマヨシアキ]
現職:立命館大学産業社会学部教授。専門分野:歴史社会学・メディア史
金泰植[キムテシ]
現職:早稲田大学地域・地域間研究機構客員次席研究員。専門分野:社会学、文化研究、韓国研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
「和解学」という新しい学問領域を拓く試みとして刊行された叢書の第六巻。戦後日本の中で、国民的記憶がメディアによってどのように生み出されてきたのか、とりわけ映画作品やドキュメンタリー番組が果たした役割を検証し、ヨーロッパにおける歴史的記憶や正義をめぐる葛藤との比較も交えて考察している。日本の戦争記憶が「被害者意識」中心で、加害責任や戦後補償に関する認識が希薄といった傾向を、NHKスペシャル等の番組内容を定量的に分析・検証しており、頷ける面もある。全体的にも読みどころは多い。2024/08/01