内容説明
現代スピリチュアリティ文化は、宗教を超え、世界の様々な領域に爆発的に浸透している。私たちはなぜ幸福を求めるのか。新たな視点で宗教と社会の“いま”を読み解く。
目次
第1部 現代スピリチュアリティ文化の理論と研究アプローチ(現代スピリチュアリティ文化の歴史と現在―対抗文化から主流文化へ;二一世紀西ヨーロッパでの世俗化と再聖化―イギリスのスピリチュアリティ論争の現在;現代宗教研究の諸問題―オウム真理教とそれ以後)
第2部 現代幸福論とスピリチュアリティ文化の諸相(マインドフルネスと現代幸福論の展開;現代マインドフルネス・ムーブメントの功罪―伝統仏教からの離脱とその評価をめぐって;グローバル文化としてのヨーガとその歴史的展開 ほか)
第3部 スピリチュアリティ文化の開かれた地平(ポジティブ心理学と現代スピリチュアリティ文化;人間崇拝の宗教としてのヒューマニズム―ヒューマニストUKの活動を手がかりとして;「自己」論へのアプローチ―エックハルト・トールとネオ・アドヴァイタ・ムーブメント)
著者等紹介
伊藤雅之[イトウマサユキ]
愛知学院大学文学部宗教文化学科教授。1964年名古屋市生まれ。1998年、米国ペンシルバニア大学大学院社会学部博士課程修了(Ph.D.)。専門は宗教社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅん
12
ジャケットにうさん臭さを感じるものの、文章は堅実な論文集。「スピリチュアルだが宗教的ではない」という規定の人々がヨーロッパと北米で増えている。宗教とは異なる現代スピリチュアリティの在り方を、ヨガやポジティブ心理学との関係から素描していく。今のエクササイズ的なヨガは古典ヨガのルーツから切り離されており、むしろヨガの肉体行使的な部分と西洋の近代体操からの流れの融合として成り立っている。日本に関しては、オウム事件以降に宗教学が客観性を担保できない場になった話を、学者たちの聞き込みから描いている。2022/05/28
Go Extreme
4
現代スピリチュアリティ文化の理論と研究アプローチ: 歴史と現在 21世紀西ヨーロッパでの世俗化と再聖化 現代宗教研究の諸問題 現代幸福論とスピリチュアリティ文化の諸相: マインドフルネスと現代幸福論の展開 現代マインドフルネス・ムーブメントの功罪 グローバル文化としてのヨーガとその歴史的展開 スピリチュアルな探」としての現代体操ヨーガ スピリチュアリティ文化の開かれた地平: ポジティブ心理学と現代スピリチュアリティ文化 人間崇拝の宗教としてのヒューマニズム 「自己」論へのアプローチ2021/11/04
るい
2
スピリチュアルに興味があったので、このように学問的に体系立てて説明してもらえると、とても勉強になった。マインドフルネス・ムーブメントはそんなに前からあったのかということは驚きだったし、それと宗教とが混同されているという現実もよくわかった。私自身は、筆者の言うとおりの、2010年代の神社巡りを始めとするスピリチュアルブーム、そして2020年代のこのマインドフルネスブームにも見事に乗っているので、うなずく部分が多かった。2022/08/16
in medio tutissimus ibis.
2
典型的なスピリチュアリティの担い手は、「スピリチュアリティであるが宗教的ではない」と自己規定する。渠らは宗教的な共同体、指導者、経典等を軽視し、「今、ここ」においてアーサナやマインドフルネスなどの実践を追求する。それにも拘らず、それは過去の仏教改革運動に幾度か見られた傾向であるし、「自己の聖性」を信奉する近代に典型的なヒューマニズムの宗教の一派であるとも、またネオ・アドヴァイダの様に原理主義的であるにすぎないともみなせる。ドイツ人指導者とアメリカ市場を中心とした運動というのはなるほど原理主義的な香りがする2022/07/01