目次
1 記憶と系譜そして信仰
2 文学と言語
3 テュルク系の諸民族
4 世界史のなかのテュルク
5 イデオロギーと政治
6 テュルク学―テュルクの歴史・言語・文化に関する研究
7 テュルク世界と日本
著者等紹介
小松久男[コマツヒサオ]
東京外国語大学大学院総合国際学研究院特任教授。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
19
テュルク(トルコ)系諸語を話す人々の文化、歴史、習俗などをまとめたハンドブック。突厥からオスマン帝国まで、中世~近世のユーラシア史において多大なインパクトを残したテュルクだが、その地理的・時間的スケールの大きさのゆえか、彼らを扱った本はこれまで数えるほどしかなかった。そのため2016年に出た本書は、個人的にまさに待望の書といったところ。その分布域の広さに対し言語的同質性はかなりのものだが、宗教や文化に関しては多様性がかなり大きい。西欧風に言語で民族を括ることは、広大なアジアには馴染まないのかもしれない。2018/11/19
紙狸
17
2016年刊。明石書店エリア・スタディーズの中でも個人的にはとりわけ面白かった。蒙を啓かれたと言ってもいい。テュルクとはテュルク系の言語を話す人々で、編者によれば「これほど広大な空間にダイナミックな展開をとげた集団は、世界史の中でも類例はない」。アゼルバイジャン人、ウズベク人、カザフ人、ウイグル人etcとその広がりには圧倒される。もちろんトルコ人も。現代のトルコ政府が、「テュルク」でつながる国家の連携に熱心なのもうなずける。戦前日本にやってきたタタール人もテュルクだという。ヨーグルトはテュルクの食文化。2023/11/18
サタイン
2
中央アジアに対する知見を深めようと手に取ったが、テュルクって言うのは中央アジアだけの話ではなく現在のトルコも含めたかなりの広範囲の話であるという事実を恥ずかしながら知らず、かなり勉強になりました。 それでもかなり時系列順に書いてあるとは言え相変わらずオムニバスの作者が複数いるって事で読みにくい本だなーと。2024/02/29
みこ
1
テュルクと聞くとトルコをイメージするし、それが間違っているわけではないのだが、実際にはもっと広範な意味を持っていることがわかった 同時に、近代のナショナリズムの潮流の中で最も苦労した国・民族の一つであるのだとも思った。どうしても日本だと海で隔てられているから自民族と言う概念が固定してしまうが、遊牧民故にあらゆる民族と交流があり、また近代の大帝国オスマンが多民族国家であったということもその難しさを助長させたと思われる。 民族と国は切り分けなければならない2023/08/24
竜王五代の人
1
騎馬遊牧民族の代表格であるテュルクではあるけれど、汎テュルク主義の夢は冷め、ソ連崩壊後のひとつの再構築としてのテュルク系国家の連携も活発でない現在、歴史的に拡散分枝するテュルクの流れは興味深いが、現在の世界でひと固まりとして捉えるべき単位(アングロサクソンとかスラブ系とかと比較しての話)であるかと問われると? と思わせる一冊であった。2021/11/21