出版社内容情報
オセアニアのキリスト教と政治および社会変容の関係を歴史人類学の視点から考察した論文集。18世紀に西洋世界からもち込まれたキリスト教がいかに広まり、どのような形で受け入れられ現在に至るのかを、トンガ、パプアニューギニアなど4地域を例に論ずる。
プレリュードとフーガ[塩田光喜]
プレリュード
フーガ
序章 海のキリスト教総論[塩田光喜]
第1節 楽園幻想
第2節 タヒチ――白人到来前
第3節 ロンドン伝道協会(LMS)
第1章 トンガにおける王権とキリスト教――植民地宣教期から民主化運動期へ[大谷裕文]
はじめに
第1節 キリスト教宣教師の到来とトンガ王権
1.初期国家の崩壊とLMS宣教師の布教活動
2.ウェズリアン・メソディスト宣教師の布教活動
3.遅れて来たカトリック宣教師
第2節 立憲君主国家の形成から植民地へ
1.新国家の建設とキリスト教諸教派
2.サローテ女王時代の「公式教会」とカトリック
第3節 トゥポウ4世の統治とキリスト教会
1.「開発政策」の展開とキリスト教会の対応
2.司教パテリシオ・フィナウの社会・政治的メッセージ
第4節 民主化運動の展開とキリスト教会
1.民主化運動と「1875年憲法」
2.民主化運動揺籃期
3.民主化運動発展期
4.熱狂の時代
5.再折衝期
6.ファーイン・チューニング探求期
おわりに――「新憲法」制定以後の迷走について
1.ロード・トゥイヴァカノ内閣
2.アキリシ・ポヒヴァ内閣
第2章 神の国、神の民、聖霊の風――パプアニューギニアにおける聖霊運動と神権国家への希求[塩田光喜]
第1節 発端――1995年9月6日
第2節 宣教の開始
第3節 パプアニューギニアのキリスト教化――宣教団サイドから見た100年
第4節 パプアニューギニア人キリスト教徒の実態
第5節 キリスト教諸教団によるニューギニア分割の完成
第6節 聖霊運動の勃発
第7節 聖霊運動とイデオロギーの出現
第8節 聖霊運動の消滅とその思想的達成
第9節 新たな宗教運動の出現――信仰十字軍と「膝折り作戦」
第10節 「膝折り作戦」の展開と政府との対決
第11節 神と悪魔の狭間で――現代PNG人の精神状況
第12節 パプアニューギニアのキリスト教の100年――受動的改宗者から能動的使徒へ
第3章 マオリのキリスト教[内藤暁子]
はじめに
第1節 キリスト教の伝来
1.キリスト教受容の過程
2.旧約聖書が果たした役割
第2節 マオリの千年王国運動――19世紀の場合
1.パパフリヒア
2.パイ・マリレ
3.テ・フィティによるパリハカ村の運動
4.リンガトゥ
第3節 マオリの新宗教運動――20世紀の場合
1.ラタナ教?――癒しの神ラタナ
2.ラタナ教?――政治の世界へ
3.ラタナ教?――現代のラタナ教会
第4節 現代のキリスト教会とマオリ
1.アングリカン(イギリス国教会)
2.メソディスト
3.カトリック
4.マオリの都市化と新興キリスト教勢力の台頭
(1)モルモン
(2)ペンテコステ派
第5節 あるマオリ家族の宗教生活
第4章 信仰から開発へ――ソロモン諸島の独立教会における「新しい生活」の変遷[石森大知]
はじめに
第1節 聖霊の働きとパラダイス村の建設
第2節 メソジスト教会からの分離・独立
第3節 エトの死とその継承者
第4節 「信仰の時代」から「開発の時代」へ
第5節 考察
おわりに
第5章 辺境の牧師たち――パプアニューギニア・マヌス島のキリスト教と伝統[馬場淳]
はじめに――「おまえの名は『生命の書』に書き込まれた!」
第1節 マヌスとキリスト教
第2節 栄光のカリスマ――パリアウ
1.パリアウ運動
2.マカソル
第3節 二つの領域を生きる者――ポール
1.ライフヒストリー
2.キリスト教とカストムの対立と止揚
第4節 神に召命された者――ジョン
1.ライフヒストリー
2.キリスト者の葛藤
第5節 媒介としてのキリスト教――むすびにかえて
後書き
大谷 裕文[オオタニ ヒロフミ]
1948年生まれ。九州大学大学院教育学研究科博士後期課程退学。九州大学教育学部比較教育文化研究施設助手、ロンドン大学SOAS客員研究員、西南学院大学文学部国際文化学科助教授、西南学院大学文学部国際文化学科教授を経て、2006年より西南学院大学国際文化学部教授。専攻は文化人類学、歴史人類学。フィールドは、トンガ王国、ニュージーランド。主な著書:『マタンギ・パシフィカ――太平洋島嶼国の政治・社会変動』(分担執筆、1994年、アジア経済研究所)、『ユダヤ人とフリーメーソン』(編訳書、1995年、三交社)、『文化のグローカリゼーションを読み解く』(編著、2012年、弦書房)。
塩田 光喜[シオタ ミツキ]
1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科文化人類学課程卒業。ジェトロ・アジア経済研究所開発研究センター主任研究員。2014年2月逝去。専攻は、文化人類学。フィールドは、パプアニューギニア。主な著書:『石斧と十字架――パプアニューギニア・インボング年代記』(2010年、彩流社)、『知の大洋へ、大洋の知へ――太平洋島嶼諸国の近代と知的ビッグバン』(編著、2010年、彩流社)、『太平洋文明航海記』(2014年、明石書店)。
目次
プレリュードとフーガ
序章 海のキリスト教総論
第1章 トンガにおける王権とキリスト教―植民地宣教期から民主化運動期へ
第2章 神の国、神の民、聖霊の風―パプアニューギニアにおける聖霊運動と神権国家への希求
第3章 マオリのキリスト教
第4章 信仰から開発へ―ソロモン諸島の独立教会における「新しい生活」の変遷
第5章 辺境の牧師たち―パプアニューギニア・マヌス島のキリスト教と伝統
著者等紹介
大谷裕文[オオタニヒロフミ]
1948年生まれ。九州大学大学院教育学研究科博士後期課程退学。九州大学教育学部比較教育文化研究施設助手、ロンドン大学SOAS客員研究員、西南学院大学文学部国際文化学科助教授、西南学院大学文学部国際文化学科教授を経て、2006年より西南学院大学国際文化学部教授。専攻は文化人類学、歴史人類学。フィールドは、トンガ王国、ニュージーランド
塩田光喜[シオタミツキ]
1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科文化人類学課程卒業。ジェトロ・アジア経済研究所開発研究センター主任研究員。2014年2月逝去。専攻は、文化人類学。フィールドは、パプアニューギニア(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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