内容説明
王子はバラに支配され、その苦しみを抱えて生きていた―。なぜ王子はバラの棘の話で激昂したのか、なぜ王子はヒツジを欲しがったのか。モラル・ハラスメントの視点から読み解くまったく新しい『星の王子さま』論。
目次
1 物語の構造
2 バラのモラル・ハラスメント
3 キツネのセカンド・ハラスメント
4 「飼いならす」とは何か
5 ボアの正体
6 X将軍への手紙
7 おとなの人・バオバブ・羊
著者等紹介
安冨歩[ヤストミアユム]
1963年大阪府生まれ。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、ロンドン大学政治経済学校(LSE)滞在研究員、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て、東京大学東洋文化研究所准教授、2009年より同教授。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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百太
25
絵がかわいい星の王子様。うはーーーっ。そっそうだよね。最後死んじゃうのも、な、なんでだ? って訳わからなかったんだけど。。。なるほど。。。。面白かったです。 2021/01/24
りりす
25
『星の王子さま』をモラル・ハラスメントの観点から論じた本。信じる信じないは別にして、私は『星の王子さま』が好きなので、なんとなくケチをつけられたような気がする。聞かなくて良いことを聞いたような。ただ筆者も、サン=テグジュペリが意図的にモラハラを書いたのではなくて結果的にそうなったとは言っている。『星の王子さま』はモラハラが主題ではないしモラハラと言って良いほどあれが大ごととは思わないけど、全くモラハラでないとは言えないとも思う。ただ引用元が「イルゴイエンヌ曰く〜」ばかりなのは気になる。2015/07/13
ともち
24
これはミステリー作品ではない。モラル・ハラスメントの観点から『星の王子さま』を読み解いたもの。王子さまに対するモラハラ加害者は一人ではない。各々がモラハラと気付かずにいるのも怖い。児童書として私も読んだが、良く理解できなかったし好みでなかったのも肯ける。 そして現在でもモラハラが闊歩している。自分もまたその一人なのかもしれない。言葉は癒しにもなるが、言の刃にもなることを肝に銘じたい。2017/10/28
ochatomo
21
【再読】 前回読んだのはいろいろな翻訳を読んだ後だった 今回は「あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである」での言及から 解釈について論文調で進められるので難しい 前回のレビューで“飼いならす”について言及していないが、その非対称性を発見したことを大きな貢献とする巻末解題(藤田義孝さん)だけを読むという手もあり しかしボアやバオバブについても興味深かった(が理解しきれなかった)のでいずれ再々読したい2020/01/19
ochatomo
21
王子さまは“薔薇というハラスメント”から無意識に身を守ろうと羊を欲しがった モラル(身体的でない)ハラスメントは、言語操作で支配し、嫌がらせと隠ぺい 加害者は空虚な人(羨むものを持つ人へ尊敬を求める) 被害者は劣等感(罪悪感+混乱) 社会に蔓延し、キツネはセカンドハラスメント 2014刊2016/02/18