目次
序章 世界の学力政策のいま
第1章 英国 労働党政権下の学力向上策―新自由主義のフロントランナーとして
第2章 スコットランドの教育改革と公正の追求
第3章 フランスの学力向上策と個人化された学習支援の多様性
第4章 ドイツにみる学力政策の転換と公正の確保
第5章 フィンランドの教育―PISAの成功から学びうること
第6章 アメリカにおける学力向上政策の幻想と現実―「落ちこぼし防止法」の導入とその成果をめぐって
第7章 テスト政策は教育の公正性・卓越性に何をもたらすのか―オーストラリア版・全国学力テスト(NAPLAN)のインパクト
第8章 ブラジルの教育改革―格差をいかに克服するか
終章 各国の学力政策の理論的整理
著者等紹介
志水宏吉[シミズコウキチ]
1959年兵庫県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了(教育学博士)。東京大学助教授等を経て、大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は、教育社会学、学校臨床学
鈴木勇[スズキイサム]
1970年大阪府生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科修了。博士(人間科学)。大阪大学助教を経て、甲子園大学心理学部専任講師。専門は、社会心理学、教育社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りょうみや
18
国際編と国内編2冊セットで読む。2000年より始まるPISA学力テストによって学力は世界で比較可能になってしまった。日本を除く8カ国が取り上げられており、どの国も市場原理による競争促進と福祉強化による格差是正の両面から、国によっては日本よりも遥かに大きい予算をかけて学力対策に取り組んでいる。一番興味深いのはやはりフィンランドで、現場レベルでの教育観はもちろん、社会というものの捉え方が一線を画して、学力政策も競争を離れた完全な独自路線をいっており、なぜこのようなことが可能なのかもっと考えていきたい。2019/02/23
飯田一史
0
日本ではPISA2000の結果はフィンランドや韓国の後塵を拝するものと受けとめられ、「ゆとり教育」路線から「確かな学力」向上路線への転換に一役買うことになる。同様に大きなショックを受け、教育改革に乗り出したのがドイツ、ブラジル(ドイツは読解力二一位、数学的リテラシーと科学的リテラシーは各二〇位。ブラジルはすべての科目において最下位)。9p 一方、フランス、アメリカでは上位ではなく平均レベルのスコアと順位だったがPISAの影響はほとんど聞かれない。22p2019/11/05