出版社内容情報
本書は、学校現場で子ども虐待防止の最前線に立つべき教師・職員に対して、虐待の発見・予防・介入のための基本知識を説くものである。虐待の定義から始まり、通告する際のガイドラインや介入方法をわかりやすく解説する、教職員にとっての虐待対応入門書。
はじめに
謝辞
第1章 発見・防止・介入における教師の役割
第2章 虐待の原因、危険因子、回復力
第3章 発達と学業成績に対する虐待の影響
第4章 通告義務者としての教師
第5章 擁護者としての教師
第6章 家族の危険因子
第7章 社会的スキルに関する戦略・介入法
第8章 効果的な指導法
監訳者あとがき
文献
はじめに
アメリカ社会では残念ながら1980年代以降、子ども虐待の発生率が増え続けている。かけがえない財産である子どもに対する虐待・ネグレクトと闘うため、社会のあらゆるメンバーが協力しなければならない。とりわけ子どもと接する専門家の協力は、特別な意味を持つ。学校で毎日児童生徒と接する教師には、虐待を受けている子どもを支援するチャンスが無数にある。法的・道徳的・倫理的・教育的に見て、教師は支援者としての役割を務めるに極めて相応しい。教師は法律により、虐待の合理的な疑いがある場合に適切な児童保護機関・法執行機関への通告を義務づけられている。道徳的・倫理的には、子どもを苦痛から守るべく全力を尽くす責任を負っている。また教育的見地からいうと、家庭で虐待されている子どもは学校での学習に問題を示す。教師の介入により、こうした児童生徒の学習や成績向上への意欲を高めることができる。
この本は、子ども虐待・ネグレクトの発見・予防・介入に対する役割と責任を教師に意識させることを狙いとしている。第1章ではアメリカにおける子ども虐待の歴史と背景を簡単に説明し、虐待撲滅に教師が参加する必要性を強調している。また虐待の定義、様々な虐待・ネグレクトの種類とそのサイン・症状にも触れている。第2章では想定される虐待の原因、危険因子、子どもの回復力を扱う。第3章では、虐待が学習能力を含む子どもの全般的発達にどのような影響を及ぼすか説明している。第4章では教師が虐待・ネグレクトを通告する際のガイドラインを示し、通告が教師・子ども・加害者・家族のメンバーにもたらす心理的影響について論じている。第5章では教師が虐待防止を促す公共政策を擁護する必要性について述べている。第6章では家族の強みと問題点に関する様々な理論と家族のリスク因子に触れている。第7章では教育的介入法について説明している。第8章では教室での指導法を説明している。
安全で愛情あふれる温かい家庭・社会に暮らすのは、あらゆる子どもに保障された基本的な権利である。子ども・家族・専門家・その他地域社会のメンバーとの協力を通じ、教師は虐待リスクがある児童生徒や実際に虐待を受けている児童生徒に希望を与え、回復を促すことができる。教師は虐待防止のまさに最前線に立っているのだ。
目次
第1章 発見・防止・介入における教師の役割
第2章 虐待の原因、危険因子、回復力
第3章 発達と学業成績に対する虐待の影響
第4章 通告義務者としての教師
第5章 擁護者としての教師
第6章 家族の危険因子
第7章 社会的スキルに関する戦略・介入法
第8章 効果的な指導法
著者等紹介
ローエンサル,バーバラ[ローエンサル,バーバラ][Lowenthal,Barbara]
教育学博士。ノースイースタン・イリノイ大学(シカゴ)特殊教育学科教授。幼児特殊教育教師を務めた経験を持ち、注意欠陥障害・学習障害・幼児特殊教育に関する研究に従事。子ども虐待および小児喘息の教育・健康への影響に関するローエンサルの発表は、米国環境保護局から高い評価を受けている
玉井邦夫[タマイクニオ]
1959年千葉県生まれ。1983年、東北大学大学院教育研究科心身障害学専攻修士課程修了。情緒障害児短期治療施設小松島子どもの家セラピスト、山梨大学教育人間科学部障害児教育講座准教授を経て、大正大学人間学部人間福祉学科臨床心理学専攻教授
森田由美[モリタユミ]
翻訳者。京都大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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