出版社内容情報
2004年立教大学でのワークショップ「拡がりゆくグローバリゼーションの歴史」を基に、グローバリゼーションを理論的な問題、安保の構想として検証。グローバリゼーションという思想がどう生まれ、植民地支配や情報通信分野にどう反映されていたかを探る。
はじめに(マーク・カプリオ)
序 論 歴史としてのグローバリゼーション(マーク・カプリオ)
第1部 グローバリゼーションへ向かう思想
第1章 グローバリゼーションと近代日本の歴史経験――思想史の視点から(松本三之介)
第2章 中国におけるグローバリゼーション史の諸相(プラセンジット・ドゥアラ)
第3章 近代日中関係に関する思想史的一考察――「アジア」の不在をめぐって(野村浩一)
第2部 グローバリゼーションと近代日本
第1章 世界的な機構としての植民地主義――日本の膨張主義をめぐる議論(一七九八年―一九一〇年を中心に)(マーク・カプリオ)
第2章 国際的視野から見た朝鮮支配(アレクシス・ダッデン)
第3章 都会人として生きていくには――台湾人の日本生活の思い出(アン・ヘイレン)
第3部 グローバリゼーションと通信
第1章 通信による地域統合――戦前の東アジアにおける日本の経験(楊大慶)
第2章 日本電気通信機工業の展開と植民地投資(疋田康行)
おわりに(マーク・カプリオ)
参考文献
はじめに
本書は、二〇〇四年三月に立教大学において「広がりゆくグローバリゼーションの歴史」を主題に開かれた二日間にわたるワークショップで発表された報告を中心に、アジアにおけるグローバリゼーションの歴史をめぐる論文集である。
このワークショップは、立教大学のアジア地域研究所が母体となり、一九九九年から二〇〇三年まで、文部科学省の助成「学術フロンティア」によって行われた共同研究「アジア研究・学術フロンティア グローバル化するアジアにおける包括的安全保障と異文化理解」のプログラムとして開催されたものである。この共同研究は、グローバリゼーションの影響下においてアジアにおける安全保障はどのように変容しているのか、また同時に、グローバリゼーションにおける安全保障、平和にとって大きな鍵になっている異文化理解はどのようにして可能となるのか、という課題を追究した。
この問題を考えるに際して、共同研究のメンバーは「グローバル化するアジア」の歴史を明らかにすることが必要であると考えた。言い換えれば、グローバリゼーションという文脈において安全保障や異文化理解を考えるためには、歴史的なアプローチが基本になると考えたわけである。そもそも、グローバリゼーションはどの時点から始まり、どのように歴史的に展開して今日の状況に至ったと考えるべきであろうか。また、アジアにおけるグローバリゼーションにはどのような条件があり、そしてどのような特徴が生まれたのか、といったような諸点を明らかにすることは、共同研究の主題に取り組むに際して重要な視点であると考えたのである。
以上のような観点から、このワークショップの準備段階から活発な議論が闘わされた。それらの成果が本書にまとめられたのであるが、本書に掲載した論文以外にも、二日間のワークショップに参加し、活発な議論に参加された五十嵐暁郎、須永徳武、宮島喬、小西正捷、弘末雅士、豊田由貴夫、鈴木邦夫、市川哲、山脇千賀子、田房由起子、マイク・モラスキー(Michael Molasky)の各氏のお力添えにも感謝を申し上げる。プロジェクトの立案段階では山室信一氏から大きな助力を得た。シンポジウムの構成を助けてくださった大川不二子氏にも記して謝意を表したい。
二〇〇六年六月
編者 マーク・カプリオ
目次
序論 歴史としてのグローバリゼーション
第1部 グローバリゼーションへ向かう思想(グローバリゼーションと近代日本の歴史経験―思想史の視点から;中国におけるグローバリゼーション史の諸相;近代日中関係に関する思想史的一考察―「アジア」の不在をめぐって)
第2部 グローバリゼーションと近代日本(世界的な機構としての植民地主義―日本の膨張主義をめぐる議論(一七九八‐一九一〇年を中心に)
国際的視野から見た朝鮮支配
都会人として生きていくためには―台湾人の日本生活の思い出)
第3部 グローバリゼーションと通信(通信による地域統合―戦前の東アジアにおける日本の経験;日本電気通信機工業の展開と植民地投資)
著者等紹介
カプリオ,マーク[カプリオ,マーク][Caprio,Mark E.]
立教大学二十一世紀デザイン研究科(法学部国際・比較法学科教授)。朝鮮史専攻
中西恭子[ナカニシキョウコ]
和歌山県生まれ。一橋大学卒業後、出版社勤務。2001年、東京外国語大学言語学修士(朝鮮語)。2005年、ソウル大学文学博士(朝鮮語学)。現在、韓国・東国大学校専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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