出版社内容情報
年代の近い若者のサポートによって、受け手が自分自身の問題に気づき、自発的に問題を解決するピア・エデュケーションは、性教育の場で大きな効果を上げている。大学生が中高生と一緒に実施した事例を、ポップなイラストで紹介。教師・保健師・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関心のある学生必読。
まえがき
1 若者の「性」、どんな問題があるの?
2 ピア・エデュケーションって、何だろう?
(1)ピア・エデュケーションの前に――知っておきたいあの言葉、この言葉
(2)ピア・アプローチ(ピア・エデュケーション/ピア・カウンセリング)とは?
(3)性教育をピア・エデュケーションで行う理由――若者の力
(4)他の国でも! ピア・エデュケーション
(5)日本でも! ピア・エデュケーション
3 ピア・エデュケーション活動に取り組もう!
(1)産業医大生によるピア・エデュケーション活動の概要
(2)きっかけと取り組み開始
(3)ピア・エデュケーション活動の流れ
(4)試行錯誤のピア・エデュケーション
4 「参加型」ピア・エデュケーター養成講座
(1)ピア・エデュケーターを養成しよう!
(2)ピア・エデュケーションの企画を立てよう!――PCM手法
5 実践! ピア・エデュケーション――医学部学生による企画書
1 「僕たち/私たちの気持ちとからだ」(向洋中学・2005年)
2 「10代の性が危ない! 自分で守ろう自分のからだ」(O高校・2005年)
3 「からだの変化と私のこころ」(向洋中学・2004年)
4 「自分で決めよう“SEX LIFE” 大切なのは自分の気持ち」(O高校・2004年)
5 「Boys & Girls」(向洋中学・2003年)
6 「コンドームに親しもう!」(O高校・2003年)
7 「自分を大切に、相手も大切に(男女交際から)」(向洋中学・2002年)
8 「ヤルならつける! コンドーム 避妊と性感染症予防を考える」(O高校・2002年)
9 「男女交際(ネット、メール等のツールを通じて)」(向洋中学・2001年)
10 「性感染症・避妊・妊娠」(O高校・2001年)
6 ピア・エデュケーションの成果と課題
(1)ピア・エデュケーションの評価
(2)ピア・エデュケーションの今後――課題と期待
(3)ピア・エデュケーターから
(4)現場の教師から
あとがき――ピア・エデュケーション打ち明け話
参考文献
まえがき
自分が中学生、高校生だった頃を思い出してみませんか。
好きな人ができて、告白するとかしないとか、ラブレター(今はメールかな)をもらったとか、書くんだとか、どこそこにデートに行ったとか、誰々ちゃんはもう経験してるらしいとか、そんな話ばかりしていたように思います。
でも、私の場合は、絶対に親や学校の先生とは、そのテの話はしませんでした。学校で性教育を受けたこともほとんどないですが、男の先生に色恋沙汰の話をされたりしたら、本当に嫌だと思った記憶があります。
今の中学生、高校生、大学生と私とでは○歳の年の差があり、「イマドキの若い子にはついていけないなあ」と思うこともしばしばありますが、「性に関することを、大人とは話しにくい」というのは、今も昔も、大して変わっていないのではないかと思います。
性のこと、彼氏/彼女のことは、やっぱり友だち同士が話しやすいんですよね。それを考えると、正確な知識や情報も、友だちから友だちに伝われば一番手っ取り早いのです。だから、今、ピア・エデュケーションでの性教育――友だち、仲間、同類同士による性教育――が注目されています。
私自身も、何もわからない状況から、自分の勤務する大学の学生と一緒に、手探りでピア・エデュケーションに取り組んできました。喧嘩をしたり、若者のパワーに圧倒され、ヘロヘロな状態になったりしても、最後には「やっぱり、性を語るのはこの雰囲気だよなあ」と満足させてくれるピア・エデュケーションを、我が学生たちが企画・実施してくれ、むしろ、次の年に向けてのエネルギーを若者たちからリチャージしてもらっていたように思います。学生たちには、いろいろと難しいリクエストもしたかもしれません。でも、彼/彼女らを信頼し、うまく、うまくサポートしてあげれば、若者たちはこちらの期待以上の能力を発揮して、すばらしい活動をしてくれます。
ピア・エデュケーションは、「病みつき」になること請け合いです。すぐにでも取り組めるように、(苦心してつくった?)5年間の企画書もすべて掲載しました。是非是非、あなたの地域、学校でも、始めてみませんか。
目次
1 若者の「性」、どんな問題があるの?
2 ピア・エデュケーションって、何だろう?
3 ピア・エデュケーション活動に取り組もう!
4 「参加型」ピア・エデュケーター養成講座
5 実践!ピア・エデュケーション―医学部学生による企画書
6 ピア・エデュケーションの成果と課題
著者等紹介
劔陽子[ツルギヨウコ]
1970年生まれ。1999年6月~2005年11月まで、産業医科大学医学部公衆衛生学助手として、学生たちとのピア・エデュケーション活動や、若者のリプロ・ヘルス/ライツ、日本及び諸外国のエイズ対策などに関する研究・活動に従事。2005年12月より結核予防会国際部医員、産業医科大学医学部公衆衛生学訪問研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。