出版社内容情報
オウム教団の“弁護”の正当性をだれよりも早く主張した著者が、日本の現代社会そのものが持つ、人権を損なう構造に目を向け、受刑者や子どもたちなど立場の弱い人々の人権の擁護を、法学的側面から、30年にわたり熱意をこめて説きつづけた論文を集成。
はしがき
第1部 人間の尊厳と個人の尊厳
一 人間の尊厳の権利化――子どもの意見表明権を手がかりに、二一世紀のあたらしい人権を展望する
二 個人の尊厳とパターナリズム――ミルの「自由原理」に内在するパターナリズム
第2部 被拘禁者
三 受刑者処遇に対する裁判所の関与――アメリカにおけるハンズ・オッフ・ドクトリン(不干渉主義)の崩壊
四 受刑者の法的地位と「監獄法改正要綱案」
五 「受刑者処遇」の高貴な偽り
六 国際人権基準からみた受刑者の権利
七 国際人権法における被疑者取調べ
第3部 安楽死
八 安楽死をめぐる検察官・弁護人・裁判所の論理――大阪地裁安楽死事件を手がかりに
九 安楽死をめぐる二つの論点――安楽死はタブーか
一〇 権利としての安楽死論
一一 「東海大学安楽死事件」の判決を批判する
第4部 死刑
一二 死刑を廃止できない日本社会の論理――死刑制度廃止にむけて
一三 日本はなぜ死刑を手ばなせないか――戦争裁判と戦後社会文化構造から考える
一四 法務大臣に死刑執行の義務はあるか――死刑執行の停止に関する予備調査を踏まえて
目次
第1部 人間の尊厳と個人の尊厳
第2部 被拘禁者
第3部 安楽死
第4部 死刑
第5部 少年法
第6部 治安権力の肥大化
第7部 戦後日本の社会文化構造と刑事政策
著者等紹介
福田雅章[フクダマサアキ]
1938年長野県に生まれる。1961年一橋大学法学部卒業。1972年ハーバード・ロースクール法学修士。1974年大阪大学教養部講師。1983年一橋大学法学部助教授。1984同教授。2002年一橋大学定年退官
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