出版社内容情報
秀吉の侵略に対する戦後処理として始まった江戸期の通信使は、やがて日朝の善隣友好関係の象徴となった。しかし、その底流には交隣と警戒の政治力学が働いている。国際関係のダイナミズムを垣間みる。
第一章 十五世紀初頭の日朝通交と文物贈答―世宗時代の交流を通じて
第二章 『蔭凉軒日録』にみる高麗記事と日本国王使
第三章 鼻塚から耳塚へ―秀吉の朝鮮侵略と近代の秀吉顕彰
第四章 壬辰倭乱と降倭・沙也可
第五章 松雲大師惟政と日朝復交
第六章 壬辰・丁酉倭乱の朝鮮人被虜とその定住・帰国
第七章 洛中洛外図にみる朝鮮使節と耳塚
第八章 申維翰『海游録』にみた近世の日本と人―朝鮮使節の日本見聞記
第九章 朝鮮通信使使行録概説―『善隣と友好の記録 大系・朝鮮通信使』収録史料を中心に
第一〇章 朝鮮通信使研究の成果と課題
通信使旅程(往路・復路)
内容説明
本書では、この500年の日朝関係史を「善隣と友好」一色にまとめあげようとはしていない。しかし、通信使の往来によって彼我の政権の相互認識の齟齬が縮まり、また民衆レベルでの「異国観」も正されてきたことは事実である。そのことをまず正当に評価した上で、なお且つ、影の部分、すなわち相互の内外の政治的緊張と妥協の応酬の中での使節の派遣があってもなお、朝鮮朝官人の小中華意識からくる倭人観と共に、日本では政権周辺の官僚を含む伝統的な日本知識人の華夷観、また神国思想などのエスノセントリズムが簡単に解消にいたっていないことも確かめてきた。歴史認識とはこのような歴史の多面性、多義性を明らかにしていくことである、と著者は思っている。本書の構成と各章の叙述の趣意もそこにある。
目次
第1章 十五世紀初頭の日朝通交と文物贈答―世宗時代の交流を通じて
第2章 『蔭凉軒日録』にみる高麗記事と日本国王使
第3章 鼻塚から耳塚へ―秀吉の朝鮮侵略と近代の秀吉顕彰
第4章 壬辰倭乱と降倭・沙也可
第5章 松雲大師惟政と日朝復交
第6章 壬辰・丁酉倭乱の朝鮮人被虜とその定住・帰国
第7章 洛中洛外図にみる朝鮮使節と耳塚
第8章 申維翰『海游録』のみた近世の日本と人―朝鮮使節の日本見聞記
第9章 朝鮮通信使使行録概説―『善隣と友好の記録大系・朝鮮通信使』収録史料を中心に
第10章 朝鮮通信使研究の成果と課題
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