出版社内容情報
「日本では何もできない」。夫の国である日本に移住したものの、日本語が自在に操れず、孤立していた子育て中の外国人女性のことばである。出自国と日本との経済格差により弱い立場に置かれることも多く、社会で活躍するチャンスも奪われ、人的ネットワークも築けない。そのような結婚移住女性たちのコミュニケーションの力を、いかに育てればよいのか。日本語教師である著者が立ち上げた、結婚移住女性と日本人女性が交流する親子参加型サークルでの実践研究をもとに、地域日本語教育の在り方を考える。コミュニケーションの力が育つ過程で〈ことばの学び〉がどのように促されるのか、エスノグラフィーを通して浮かび上がらせる。
内容説明
生活者のLifeを支える“ことばの学び”とは。血縁・地縁から離れ、日本で孤軍奮闘の子育てをする外国人女性がいる。ことばの壁を乗り越え、自分らしく生きていくことを促す、地域の取り組みをみつめる。
目次
第1章 本研究の目的と研究課題
第2章 先行研究と理論
第3章 研究方法
第4章 “エスノグラフィー1”自分なりのリテラシーを生成・活性化するナルモンさん
第5章 “エスノグラフィー2(1)”コミュニティへの周辺参加から十全参加に向かうリンさん
第6章 “エスノグラフィー2(2)”メンタルヘルスの問題を抱え、「対話」を求めるレイラさん
第7章 “エスノグラフィー2(3)”親密圏の中で人的ネットワークを構築するアンさん
第8章 結婚移住女性にとっての“ことばの学び”
第9章 日本人にとっての“ことばの学び”―再考・子育て中の女性にとっての地域日本語教育
第10章 生活者のLifeを支える“ことばの学び”を促すための地域日本語教育
著者等紹介
福村真紀子[フクムラマキコ]
茨城大学大学院理工学研究科(工学野)数理・応用科学領域助教。1968年滋賀県生まれ。2020年、早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程修了。博士(日本語教育学)。2021年より現職。専門は、地域日本語教育。2010年、東京都日野市に、いろいろな国や地域にルーツを持つ子育て中の女性が交流するサークル「にほんご あいあい」(のちに「多文化ひろば あいあい」に改名)を設立。日本の様々な地域をめぐり、地域日本語教育に従事するボランティアなどに向け日本語にこだわらない日本語教育を提唱している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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