出版社内容情報
なぜニーチェは専門家でないにもかかわらず、数多くの生物学書を読んでいたのか。著者はその問題に思想史的なアプローチで挑み、19世紀の生物学に関連する文献を渉猟しつつ、彼の刊行著作だけでなく遺稿まで分析する。とりわけ本書で注目されるのは、1880年代に頻繁に使われる「生理学」という用語である。それはニーチェ独自の比喩表現にほかならず、文化創造の快楽を具体的に構造化するための戦略であった―。当時の歴史的文脈のなかで彼の思想の核心に迫っていく意欲的な研究。
内容説明
謎に満ちたニーチェの実像が一九世紀の歴史的文脈のなかで解き明かされる。「生理学」というメタファーに込められた真意を読み解くこと。それは文化創造の源泉へとつながっていく―。ニーチェは我々をどこへ誘おうとしているのか?
目次
第1部 善悪の起源としての神、「物自体」、「意志」(キリスト教道徳に対する論難;カントの道徳論への誹議;意志形而上学からの離反)
第2部 一九世紀の生物学と「力への意志」(ニーチェの神経学批判;細胞の集合体としての身体;能動的な適応性)
第3部 価値の創造過程(自然史から社会史へ;権力と文化;歴史主義の自己超克)
著者等紹介
前川一貴[マエカワカズキ]
1981年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科ドイツ語ドイツ文学コース博士課程満期退学、2019年に博士号(文学)取得。日本学術振興会特別研究員を経て、早稲田大学・大東文化大学・昭和音楽大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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