目次
第1部 草原の馬文化―馬家畜化からモンゴル帝国まで(戦車と騎馬―家畜化後の広域交流;モンゴル帝国の祭祀とウマ犠牲)
第2部 中国の馬文化―馬車から騎馬へ(中国古代の車馬;牧馬の育成―中国古代養馬史の再構築;中国における騎馬の導入と展開)
第3部 馬文化の東伝―中国から朝鮮半島、そして日本列島へ(鐙の出現―騎馬文化東伝の原動力)
特別論考 古代東アジアの馬文化と植生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
126
中央アジアの草原から日本に至るまでの、馬と馬事文化の展開を広い視野で追った一冊である。300ページ近い本でありながら、素人である六点にもわかりやすく、あっという間に読了した。どのような本を読む時でも、知識のブラッシュアップがあるものであるが、この本でもいきなりその衝撃に見舞われた。人間に家畜化されていない唯一の馬だとされてきた「モウコノウマ(蒙古野馬)」は家畜化された馬が脱走して再野生化したものであることがDNA解析から明らかになったそうである。つまり、野生の馬は存在しないのだ。2023/04/29
bapaksejahtera
12
人類の重要な伴侶である馬について、その家畜化から車輛への導入、及び騎馬遊牧と戦闘に関し、考古学や遺伝子分析等理化学的方法を尽くし最新の知見を紹介する。ヒトによって容易に絶滅し得た馬という種が、食肉や乳製品、皮革等を目的とする家畜化により生き永らえ、紀元前二千年紀初め戦車に利用される。更なる馬具の発明は騎馬戦闘への活用を促す。記述は網羅的で詳細だが、用語説明等一般読者への配慮がやや足りない。西ユーラシア由来の馬匹革命の中で、唯一東アジア由来の鐙が、西洋にどのように流れて行ったか、コラムででも説明が欲しかった2024/10/03