内容説明
百の歌で何を為そうと試みたのか。「昔」を慕い帰りたいと想う、自然と一体でありたいと願う、辺境から都へ帰還したいと訴える。
目次
第1講 失われた「昔」を求めて―源国信『源中納言懐旧百首』(題詠というあり方;『堀河百首』について;作者について ほか)
第2講 自然との合一―慈円『早卒露胆百首』(作者について;作品の形態について;主題と機能)
第3講 祈ることは結び付けること―京極為兼『鹿百首』(作者と成立;伝本の問題;制約と方法 ほか)
感想・レビュー
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endocco
2
論文にしても何にしても、浅田先生の文章は、本当に分かりよい。こんなに専門的な世界を開いて語ってくださることに感謝。中世の詠歌が、より抽象的なものであるというのは重要な観点と思う。現代、共感の点から詩歌を鑑賞しがちなので、しかと留意せねばなるまい。2015/06/17
kinaba
0
京極為兼の本を読んで「鹿百首」に興味を持ったので読みました。「帰京を祈る百首に祈る気持ちが詠い込まれておらず単に鹿がいるだけの物が多いのが不思議」なのが我々の感覚──という筋で解説されてる部分だけ、どこが不思議なのだろうと、研究者の感覚に猛烈な違和感を持ったけれども、それ以外丁寧な講義でわかりやすかった。単なる百題という以上の含意の伝統がどんなものだったか、等々。2014/11/15
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