出版社内容情報
伝統ある神社の跡取り息子である星の町中学校2年のワタルは、GW明けのある出来事をきっかけに、学校でも家でもイライラする毎日を送っていた。そんなある日の放課後、所属する「文化伝承部」の活動で「星のかけら博物館」にいたところ、伝説の聖獣「オオカミさま」が見つかったとの一報が入る。ワタルにはただの汚れた犬にしか見えないその生き物は、あっという間に町じゅうの話題をさらい、大人たちを夢中にしていく。そして終には……。オオカミさま発見に大騒ぎする大人たちに愕然とし、時にゼツボウしながらも、なんとかその生き物と自分の心を守ろうとするワタル・十四歳の奮闘。
内容説明
オオカミさまに、しっぽは付いていたんだっけ?アンソニーとメアリーが、祭りの生贄に?伝説の「聖獣」が見つかった?ワタル・14歳、ひとりぼっちのたたかいが始まる。樫崎茜『ヴンダーカンマー』以来の博物館を舞台にした書き下ろし。
著者等紹介
樫崎茜[カシザキアカネ]
1980年、長野県生まれ。2006年「ファントムペイン」で講談社児童文学新人賞佳作受賞。2007年のデビュー作『ボクシング・デイ』で第18回椋鳩十児童文学賞受賞。2010年の『満月のさじかげん』で日本児童文学者協会新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪丸 風人
5
迷信深い地域に伝わる土地神のような獣が捕獲されたことで、町が異常な熱気に包まれます。主人公は宮司の家に生まれた中2男子。不本意にも「オオカミさま騒ぎ」に巻き込まれることになった彼が、身を乗り出して生贄の儀式に抵抗し、町の空気を変えていくきっかけをつくります。いじめ事件のくだりには息を呑みましたね。特に釘づけになったのは、主人公がクラスの空気に合わせ、いじめ加害者になった過去を告白した場面でした。頼れる大人が少ない中で、自分が動くしかないと決意するシーンも私のお気に入りです。(対象年齢は12歳半以上かな?)2022/08/17
くま美
5
伝説の聖獣「オオカミさま」が現れ町は大騒動。中学生のワタルにも影響が。単なる聖獣伝説の話かと思いきや、中学校でのいじめと聖獣を取り巻く大人の声高になっていく町興し。物語の中に隠されたテーマ「バタフライエフェクト」が考えさせられる。来年の読感文の課題図書になるかも。2022/08/03
芦屋和音
2
中2のワタルの町では伝説の聖獣「大神(オオカミ)さま」が見つかり大騒ぎ。テレビ局やSNSを駆使して町興しに躍起になる大人たちを冷めた目線で見るワタル。後半明らかになる学校で起きていたこと……。キーワードは「バタフライエフェクト」。同調圧力に絡めとられる怖さ。「命と命を差しだしあうような真剣勝負でないのなら」以下をよく読んで欲しい。情けない大人たちに喝を入れる&そんな大人にならないための物語。2023/03/04
だけど松本
1
最初っから主人公がイライラして舌打ちばっかり。ずっとそれ。しんどい。そして起こる出来事もしんどい。2023/09/16
おちょま
0
ところどころ面白かったけど、あまり入り込めなかった。 10代には刺さるんだろうね。2024/07/11