出版社内容情報
キリスト教は多元化する世界で超越的・絶対的真理性を主張できずとも尚偉大たりうるか。諸宗教との比較を通じその価値を再確認する。
新しい学問的方法の台頭や多元化する宗教・文化状況で、キリスト教が無条件に超越的・絶対的真理性を主張することは不可能ではないか。社会学者マックス・ウェーバーの同僚兼同居人としてたがいに深く影響を与え合った著者は、それまでの神学的・哲学的議論を精査し、キリスト教がひとつの歴史的形態にすぎないことを認めつつも、なお他の啓典宗教やインド思想・仏教との比較を通じて、キリスト教の偉大さを示そうとする。みずからの価値を再確認し、さらなる前進を促す本書は、トレルチ生誕150年、ますます多元化する現代において、必ず読みかえされなくてはならない古典的名著である。
【著者紹介】
1865年、ドイツのアウクスブルク生まれ。プロテスタント神学者・歴史哲学者。ゲッティンゲン大学などで神学を学び、ハイデルベルク大学神学教授、ベルリン大学哲学教授などを歴任。第一次世界大戦後のワイマール時代には、ドイツ民主党の政策に関わり、評論家として活発な執筆活動を行い、さらにプロイセン州の政務次官として、また大統領エーベルトの参事官としてドイツ再建に尽力した。1923年没。
内容説明
近代が突きつける文化の多元性・相対性の前に、キリスト教の真理性は維持できるのか。マックス・ウェーバーの盟友にして近代神学の巨人が、これまでの学問的方法を再検討し、他の啓典宗教や仏教・インド思想との比較を通じて、その価値の再確認を試みる。ますますグローバル化する現代にこそ読まれるべき古典。
目次
第1章 近代の歴史学の神学への影響と神学の側での対応
第2章 既存の「絶対性」論の検証
第3章 歴史的相対性から価値規範性への転回をふまえての「絶対性論」
第4章 歴史学的思惟によってキリスト教を価値ある最高の宗教として容認することができるのか
第5章 歴史学的に引きだされた「絶対性」の主張は信仰をもつ者にとって十分なものであり得るのか
第6章 宗教史的・宗教哲学的基盤の上でなおキリスト教の教会的形態と信仰は可能なのか
著者等紹介
深井智朗[フカイトモアキ]
1964年生まれ。アウクスブルク大学哲学・社会学部博士課程修了、哲学博士(アウクスブルク大学)、博士(文学)(京都大学)。現在、金城学院大学人間科学部教授。著書に、『超越と認識―20世紀神学史における神認議の問題』(創文社、第13回中村元賞)、『十九世紀のドイツ・プロテスタンティズム―ヴィルヘルム帝政期における神学の社会的機能についての研究』(教文館、2009年度日本ドイツ学会奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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