出版社内容情報
白犬マヤは、わたしたち家族の一員として、三兄弟とともに成長していった。やがて、戦争がはじまり食糧が不足しはじめ、町中の飼い犬たちがつぎつぎ殺されていく。そして、マヤにも運命の日が迫る。
著者等紹介
椋鳩十[ムクハトジュウ]
1905年、長野県に生まれる。法政大学文学部を卒業後、山の民を主人公とした作品で脚光をあびる。のち児童文学に移り、動物文学の第一線で活躍。1987年没
小泉澄夫[コイズミスミオ]
1942年、神奈川県に生まれる。青山絵画研究所などで修学後、イラストレーターとして活躍。第十二回日本絵本大賞/新人賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
102
戦争に対する強い怒りを感じる童話。作者の家族が飼っていた犬マヤが悲惨な最期を迎える結末は、悲しくてやり切れない。戦争は人間だけではなく、すべての生き物の命を奪ってしまうことが骨身に沁みて分かる。作者は生きとし生けるもの全てを愛した人だった。他の作品を読んでもそのことが分かるし、この小説のニワトリのピピ、ネコのぺルの描き方からも動物に対する深い愛情を感じる。童話だけが、今の日本の状況を考えると、」大人も読むべき小説ではないか思った。2018/06/13
わむう
22
5年生の国語関連本。作者による実話。作者の家に飼われていた熊野犬のマヤ。鶏のピピ。猫のペロは穏やかなマヤのおかげで皆仲良し。たまに喧嘩するけど怪我をさせない加減を知っている。しかし戦争が起こり犬を飼うことは贅沢だとされ次々と処分されていく。村で最後まで手放さなかったが留守の間に連れて行かれ撲殺されてしまう。マヤの最期が悲しくて愛しくてたまらない。動物でさえ相手を傷つけない優しさを知ってるのに人間はなぜそんなことをしてしまうのか。戦争が人間の心を変えてしまう悲しいお話でした。2018/01/09
ツキノ
14
戦争を知らないYAのための36選としてセレクトされていた。タイトルは聞いたことがあり、椋鳩十さんの作品は子どもの頃よく読んだのだけれど、この作品に関しては記憶なし。実話。最初は犬のマヤがうちにやってきた経緯、ニワトリのピピ、猫のペルとのほほえましい友情などが描かれている。戦争はこれまでの生活を一変させ、人格まで変えてしまう。食べ物をどうしていたのかなど「証言」でもある。上野動物園の「かわいそうなぞう」のエピソードが有名だけれど、人が飼っていた犬にまでこんな残酷なことが行われていたとは…涙。戦争はいかん。2015/06/17
ひじり☆
9
子どもにショック熱を出させる残虐な仕打ちに、私もう熱が出そうな怒りを覚えた。前半の微笑ましさが、後半の展開に苦しさを増す。細かいところだが、あれだけ残虐な仕打ちをした大人も、本来は決して酷い人物ではなかったというところが印象的だった。戦争によって、人格まで壊されてしまった…というのがあまりにも切なかった。2019/06/18
たかはし
3
初読の名作。微笑ましい穏やかな暮らしから一変。涙が止まらない。戦争の話だったとは。著者の無念と後悔は想像するに余りある。戦争を知らない全ての子どもたちに贈りたい。2019/01/09
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- 和書
- キサトア 文春文庫