内容説明
ひょんなことから、英語の先生の家で書生として暮らすことになった探偵小説好きの少年。癇癪もちで、世間知らず。その上、はた迷惑な癖をたくさんもつ先生の“変人”っぷりには辟易するが、居候生活は刺激でいっぱいだ。なんせ、先生のまわりには、先生以上の“超変人”と、奇妙奇天烈な事件があふれているのだから…。夏目漱石の『吾輩は猫である』の物語世界がよみがえる、抱腹絶倒の連作ミステリー短編集。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年に『黄金の灰』でデビュー。同年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で、第12回朝日新人文学賞を受賞。文学作品に想を得たり、実際に起きた歴史的な事件や実在の人物に材をとり、本格的なミステリーや物語に仕立て上げるその手腕には定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
67
『吾輩は猫である』の世界と謎解きがどう組み合わさるんだろう?と面白く読みました。日露戦争中の庶民の世相が描かれるのも興味深かかったです。過去に2度読んだはずなのに『吾輩は猫である』の内容をかなり朧げにしか覚えていないのは我ながら残念。あとがきで「あまりに有名な書き出しのほかは、本の内容を覚えている人が驚くほど少ない」と書かれていて、自分だけじゃなかったのね。と少しホッとしました。2021/02/22
へくとぱすかる
65
これを機会に漱石の『猫』を再読しようかな。中学か高校かのとき読んで以来だから、内容を完璧に忘れているし。さて、ここの先生は、漱石じゃなく苦沙弥先生に近い。『猫』のエピソードを基本に、原作にない、書生の「僕」による日常の謎解きが楽しい。4章は時代が決して平穏でないことを教えられるし、5章はコージーミステリの見本のよう。心配したラスト。作者の配慮にホッとしました。2016/10/16
田中寛一
25
久しぶりに面白い本を読んだ。ページをめくるたびに笑いがこみ上げてくる。「吾輩は猫である」も学生時代に読んだきりですっかり忘れていて原作とどれだけ同じで違っているのかさえわからないが、とにかく面白かった。猫が事件でも解決するのかと思っていたが流石にそれはなかった。だが書生が謎を解くヒントに名前のない猫が関わっていたりする。あとがきに原作への誘いもあり青空文庫をダウンロードし開いてみると、原作にかなり沿いながら描かれていることにさらに感動!2015/04/11
とも
18
★★☆ただただ、だるい。2014/11/15
Penguin
18
「吾輩は猫でない?」「猫は踊る」「泥棒と鼻恋」「矯風演芸会」「落雲館大戦争」「春風影裏に猫が家出する」の6編。 『吾が輩は猫である』は、ちゃんと読んだことがないが解説を読むと、登場人物も各話しもあるとのこと。昔から、謎が隠されていると言われていたために、謎を書生が解決していく。それにしても、漱石先生の浮世離れ凄まじい…2012/06/15