内容説明
その子は、いつも一人だった。コンビニの前。公園。商店街。家の窓、カーテンのかげに…。ひとりで住んでることは秘密です。まつりちゃんが、出会った人の心にくれたものは…子どもを書き続ける作家が描いた、ささやかな奇跡の物語。
著者等紹介
岩瀬成子[イワセジョウコ]
1950年山口県に生まれる。1977年のデビュー作『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。1992年『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞、産経児童出版文化賞を受賞。1995年『ステゴザウルス』『迷い鳥とぶ』2作で路傍の石文学賞を受賞。2008年『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はる
73
まつりちゃんという少し不思議な女の子の物語。カーテンを閉め切り、夜になっても真っ暗な家で一人で暮らす彼女の正体は…。礼儀正しいまつりちゃんがとにかく可愛い。彼女の存在に気付いた登場人物たちも、自分の抱えている問題を棚に置いて彼女に優しくします。結果的に彼らもこの行為によって精神的に救われているのがいい。置かれている状況は厳しいけれど、ただ健気に生きるまつりちゃんが愛らしい。きっと明るい未来が待っているに違いありません。2018/03/18
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
71
ある日、いつものように塾が始まる前に軽く食べる晩ごはんを何にしようかとコンビニに向かうと、コンビニのドアの前で小さな女の子がいて・・。「おお、川だ たまご おどり場 となりの庭 仔ヤギのお母さん クモ コンクリート アリさん」連作短編集全8話。まつりちゃんという名前の少女を巡る物語。あまりにもまつりちゃんが良い子なので、読者である私も思わず手を差し伸べたくなりました。早くまつりちゃんの家に明かりが灯る日が来ればいいな。★★★2013/05/17
ぶんこ
49
空家を装った家に一人で住む5歳の女の子まつりちゃん。切なくなるが、猫がいてくれるのが嬉しい。そしてご近所の大藤さんご夫婦が居ること。こういった救いがあるから少しは安心して読めたのかもしれません。不思議なことに、読んでいると私もお仲間に入れてと言いたくなるのです。まつりちゃんと猫と一緒にいたい。ハードな側面のある物語なのに、ほのぼのとする不思議なお話。2018/05/04
千穂
34
真っ暗な人気の無いお家に住む5歳のまつりちゃんは不思議な女の子。まつりちゃんと繋がりを持つことになるご近所さんの連作短編集。辛いお家事情を乗り越えて親子ときんちゃんが楽しく幸せに暮らせる日が来ますようにと願う。2019/11/16
tokotoko
32
眠れなかった夜にピッタリの不思議な始まり。いろんな大人や子どもが次々に登場する。共通点は、「まつりちゃん」に出会うこと。それ以外は、それぞれの境遇で生きている。最初は、小さかった「まつりちゃん」の存在がどんどん気になってくる。最後の方で謎が解け、その頃には「まつりちゃん」の周りにはあたたかい人達がいた。「まつりちゃん」が踏ん張ったから。大人よりも強い気持ちで、ただ一心に!そんな子どもは、実は結構いるんじゃないかなぁ。気づけるような目を持ちたい。気づいたら友達になれる、大人になりたい。2013/07/17