出版社内容情報
初めてのプリン、ひとりで留守番、うまくできないチョキ…。感じていたのにうまく言えなかった子どものころの想い出を綴る詩集。 小学校中学年~中学生
すべての人の中に潜んでいるにちがいない
「こども力」への賛嘆の想いをこめて・・・
せつないような、あたたかいような、涙がでてくるような・・・まるでこどもの頃の心のアルバムをのぞいた気持ちになる。親子である工藤直子と松本大洋の絶妙なコンビネーションが魅せてくれます。秋にぴったりの一冊。
内容説明
たとえば、五歳のころの夕焼け。それは大人になった私をどこかで支え、励ましてくれる風景の記憶。
目次
ぷりん
るすばん
とんぼ
たび
やもり
じゃんけんぽん
しわ
わすれもの
にんぎょう
じてんしゃ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
150
工藤直子氏の詩、松本大洋氏の絵。るすばん。ふうせん。はなび。ぶらんこ。まいご。おふろ。…こどものころにみた空は深く高く青かった。走って叫んで、その一瞬が輝いていた。あの日の入道雲、あの穏やかな夕焼け。突然の雷、降り積もる雪。山の風、海の輝き、星の瞬き。みんなが生まれる前から、ここにはあったんだよ。…旅立ちのとき、再会のとき、いつだって故郷の景色が浮かぶ。大人になってもどこにいっても、心の支えとなり励ましてくれている。…親の手の温もりと見失ったときの不安。遠く離れた海辺には、忘れられない記憶が刻まれている。2021/11/06
しいたけ
104
誰の中にもある、こどもの自分。おとなが書く大人の言葉でのそれを見つけて私は嬉しくなる。けれどもおとなが子供の言葉を使って書いたそれに、私の気持ちは冷めてしまう。こどものころ見た入道雲。果てがないことが怖かった高い空。親がいつかはこの世からいなくなるということ。『まいご』での「わたしは わあわーあ となきました いちおくねん なきました」のこどもことば。親に手を離されたこどもに、一億年という果ては見えるのだろうか。まっさらな気持ちで読もうとしたが、できなかった。子の手を離した母へ持つ自分の偏見を思い知る。2018/03/21
とよぽん
51
学童保育の書架にあって。しかも、扉に工藤直子さんのサインが! 持ち主は誰だったの? 夕焼け色の表紙カバーが鮮やか。そして、私はプロローグの言葉に心をつかまれた。子どもの頃の、自分の頼りなさや好奇心や根拠のない思い込み、心細さ。工藤直子さんは全てを包み込んで、もう一度それらを見せてくれる。懐かしさと穏やかさで満たされた。2022/11/29
キジネコ
44
松本大洋の人は、どこか しいんと寂しい。それは ぼくを映すから寂しいと感じるのだろうか。人は いつから大人になるんだろう。こどもでいることを やめる・・そんな瞬間が ぼくのれきしの中の過去に あったのだろうか。今日の日 随分前に死んだ母を思い、選んだ一冊。「おつかい」「ぷーる」「おしっこ」が いい。「かないくん」の順番が 回ってくるまでに まだ少しあるので 詩人と漫画家が いっしょにする仕事が 他にもないかな、と探し当てた一冊。むかし片瀬で何度か会って話した若い漫画家の目の中にも「しいん」があったなあ。2014/05/11
るんるん
37
原風景をたしかめたくなるのは、あのころのじぷんからの伝言をうけとりたくなるからなのかもしれない。街なみはすっかりかわってしまいましたが空の色こどもの声はずっとつづいています。2014/06/01