内容説明
あの夏、私はおばあちゃんにS・O・Sをだした。とうさんにもかあさんにもいわないで。生きるために家族の意味を問い直す。小学校中・高学年から。
著者等紹介
今村葦子[イマムラアシコ]
1947年、熊本県に生まれる。『ふたつの家のちえ子』(評論社)で、野間児童文芸推奨作品賞、坪田譲治文学賞、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。同作品および『良夫とかな子』『あほうどり』(ともに評論社)で路傍の石幼少年文学賞、『かがりちゃん』(講談社)で野間児童文芸賞、『ぶな森のキッキ』(童心社)で絵本にっぽん大賞、『まつぼっくり公園のふるいブランコ』(理論社)でひろすけ童話賞を受賞
堀川理万子[ホリカワリマコ]
1965年、東京都に生まれる。東京芸術大学大学院美術研究科修了。タブローによる個展を毎年開きながら、子どもの本の仕事も精力的に手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
134
お気に入りさんのレビューにて手にとった児童書ですが、全然児童書とは思えない、むしろそこらのヒューマンものよりもずっと深くジンワリさせてくれるステキな作品でした。サッカーボールを追いかけて道路に飛び出した弟を救うために、自ら犠牲になった姉。そんな事故の影響から、弟は責任を感じてか話をしなくなり、小2にして指のおしゃぶりとおねしょを繰り返すようになります。両親も些細なコトで喧嘩し、二人とも酒量が日に日に増えていきます。そんな崩壊寸前の家庭を救うためにやってきた祖母は温かく、焦らずじっくりと見守り続けます。2019/05/11
千穂
39
家族とは、こわれやすく微妙なもの。だれかが欠けてしまったとき初めて欠けたものの大きさを思いしる。ひとりたりないというタイトルの示すものの大きさを感じて読了。丁寧に食することの大切さを強く感じました。家族の危機を救ってくれたおばあちゃんは偉大です。2019/05/13
ロマンチッカーnao
32
小学二年の弟のサッカーボールが道路に出てしまい危ないと思い拾おうとした中学生の姉が自動車事故でそのまま死亡。両親は酒に逃げて、弟はその日から赤ちゃん返りで、何も話さなくなり、オネショが始まった。どうしようもない家の状態を小学5年になる次女がおばあちゃんに助けを呼び、おばあちゃんが家を片付け、暖かいご飯を作り、少しづつ家族が再生していくお話。うちも長女が赤ちゃん返りしたことがあったので、思い出し、正しい対応を自分は出来たのか不安になりました。重いですが、いいお話でした。2019/03/22
のり
21
児童書コーナーの本だから、ちょっと不思議なミステリーかと思って読んだら、お姉ちゃんが弟をかばって亡くなり、それによってボロボロになった家族の話だった。読んでいて切なく辛かった。きちんと食事して話して清潔にして…そういうことで心も癒される。おばあちゃん素晴らしい。考えさせられる作品。2015/10/03
びすけっと
19
2009年7月刊。お気に入りさんつながり。ある日突然、家族がひとりいなくなった。暗雲立ちこめる家におばあちゃんが光を差し込んでくれます。三人きょうだいのまんなかの子が語る家族の物語。弟の再起も良いけれど、これまで姉に頼り切っていたことを自覚した彼女の成長がすてきだ。お姉ちゃんの分も生きていってね。2015/12/21