内容説明
あの夏、私はおばあちゃんにS・O・Sをだした。とうさんにもかあさんにもいわないで。生きるために家族の意味を問い直す。小学校中・高学年から。
著者等紹介
今村葦子[イマムラアシコ]
1947年、熊本県に生まれる。『ふたつの家のちえ子』(評論社)で、野間児童文芸推奨作品賞、坪田譲治文学賞、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。同作品および『良夫とかな子』『あほうどり』(ともに評論社)で路傍の石幼少年文学賞、『かがりちゃん』(講談社)で野間児童文芸賞、『ぶな森のキッキ』(童心社)で絵本にっぽん大賞、『まつぼっくり公園のふるいブランコ』(理論社)でひろすけ童話賞を受賞
堀川理万子[ホリカワリマコ]
1965年、東京都に生まれる。東京芸術大学大学院美術研究科修了。タブローによる個展を毎年開きながら、子どもの本の仕事も精力的に手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
170
お気に入りさんのレビューにて手にとった児童書ですが、全然児童書とは思えない、むしろそこらのヒューマンものよりもずっと深くジンワリさせてくれるステキな作品でした。サッカーボールを追いかけて道路に飛び出した弟を救うために、自ら犠牲になった姉。そんな事故の影響から、弟は責任を感じてか話をしなくなり、小2にして指のおしゃぶりとおねしょを繰り返すようになります。両親も些細なコトで喧嘩し、二人とも酒量が日に日に増えていきます。そんな崩壊寸前の家庭を救うためにやってきた祖母は温かく、焦らずじっくりと見守り続けます。2019/05/11
千穂
40
家族とは、こわれやすく微妙なもの。だれかが欠けてしまったとき初めて欠けたものの大きさを思いしる。ひとりたりないというタイトルの示すものの大きさを感じて読了。丁寧に食することの大切さを強く感じました。家族の危機を救ってくれたおばあちゃんは偉大です。2019/05/13
ロマンチッカーnao
34
小学二年の弟のサッカーボールが道路に出てしまい危ないと思い拾おうとした中学生の姉が自動車事故でそのまま死亡。両親は酒に逃げて、弟はその日から赤ちゃん返りで、何も話さなくなり、オネショが始まった。どうしようもない家の状態を小学5年になる次女がおばあちゃんに助けを呼び、おばあちゃんが家を片付け、暖かいご飯を作り、少しづつ家族が再生していくお話。うちも長女が赤ちゃん返りしたことがあったので、思い出し、正しい対応を自分は出来たのか不安になりました。重いですが、いいお話でした。2019/03/22
anne@灯れ松明の火
30
読友さんご紹介。ゆっくり追っかけている今村さん。優しい、かわいい絵本、童話も多いが、これは違う。カバー袖「きのうと、きょうがあって、あしたも、おなじようにつづくのでしょうか? サッカーボールが、へんなはずみかたをしたばかりに、私たちのあしたは、おそろしい顔を見せたのでした」小5の琴乃一家に起きたのは、辛く、重い出来事。手を差しのべた祖母の強さと優しさが救い! お蔭で徐々に落ち着いていくが、琴乃は心の中で叫ぶ。やっぱり「ひとりたりない」! 重い話だが、読後感は悪くない。児童書だからすぐ読めるが、長く心に残る2024/09/11
わむう
22
「なにもかもめちゃくちゃでした。ないたってさけんだって、もうどうしようもならないのです」小学生の琴乃から祖母へのSOSで始まります。中学生の姉が、小2の弟をかばい事故死してから、両親は現実から目をそらしお酒に逃げ、弟は心を壊して赤ちゃん返りをしている。祖母が家族の世話をするため、しばらく一緒に生活する。祖母は何も言わないけど、皆の苦しみを受け止め、壊れかけた家族が日常の生活に戻れるようにサポートを続ける。大きな出来事がきっかけで皆が少し前を向けるようになるが、姉を失った喪失感は時間をかけてしか癒えません。2024/05/04
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- 和書
- 坂口安吾 文春文庫