出版社内容情報
武州壬生を訪れた十兵衛は、旧知の町奉行が理不尽な「敵討ち」により落命したと知る。怒り心頭の十兵衛、珍しくお役目も忘れて……。
内容説明
武州からあてもなく北に向かった桑山十兵衛は、鳥居丹波守の城下町壬生で、旧知の吉村兵太左衛門を訪ねた。だが吉村は当地の名門の総領息子から逆恨みされた挙句、果し合いで討たれていた。士道不覚悟で吉村家は改易。理のある者がなぜ、こんな目に…。鬼すら反吐吐く所業に、十兵衛の怒りが爆発する。大人気シリーズ第八弾。
著者等紹介
佐藤雅美[サトウマサヨシ]
昭和16(1941)年、兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。会社勤務を経て、43年よりフリーに。60年、処女作「大君の通貨」で、第4回新田次郎文学賞受賞。平成6年、「恵比寿屋喜兵衛手控え」で、第110回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
52
面白かったです。十兵衛行く先に事件あり。でも最後にゆるくつながっているのが見事でした。時代考証も興味深かったです。2020/12/12
rokoroko
19
夜寝る前に読んで起きた途端「見沼通船掘」の話を始めたから夫が『市立浦和博物館にいくか』と言ってくれた。見沼通船堀の近くの公園は子供も孫もつれて遊びに行った馴染み深い場所。システムもどこかの博物館で見た記憶。近いのに通り過ぎてた場所を描いていると少し興奮してしまう。八州は馴染みのある場所ばかりなので読んでて楽しかった2021/07/05
cape
11
いつもの十兵衛。関東在野を飛び歩く。当時の制度や関東の風土を巧みに引用しながら、事件を解決に導く。あるいはあえて導かない。役人らしからぬ柔軟さが人情による。説明し過ぎず、深入りし過ぎない文体も、爽やかに読ませる。ただ、今回は悪役かとおぼしき樋口新三郎が縦糸として全編を貫き、最後に悲しく終わったのが意外。爽やかながら、余韻に浸りつつ、本シリーズもあと数冊しかないのが悲しい。2021/08/16
fengui
4
お勤めとして八州を廻るも時に「役人」として役目外のお願をされたり、 やっと江戸に返ってきたと思ったら上役に頼まれごとをされたりと士官の身の大変さが身に沁みます…。 表題作もそんな哀愁を感じさせ、最後の「足掛け二十六年の絶望」は確かに「絶望」なのですが、それを大したことのないように淡々と書いてしまう作者の力量はすごいなぁと感じました。2014/07/03
moon-shot
3
時代劇に付き物の敵討ちを、唯一楽しめるのがこの第八巻。下野国壬生藩から見殺しにされた友人吉村兵太左衛門の仇を討つ。圧勝しますが、遺児小太郎への気配りがいい。私にも一太刀をと願う小太郎に「これは私闘です。敵討ちではありません。およしなさい。」と諭して刀を抜かせず、江戸の学塾に連れていく。その一方で、万一敵に加勢がいた時に備えて、村外れには鉄砲打ち十名を密かに待機!十兵衛かっこよすぎ。物語全体は、火盗改の樋口新三郎との八州治安の縄張り争いが縦糸になってますが、最後は思わぬ人情話になって、こちらはめでたく和解。2024/01/20
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- 和書
- 反逆の日本史 河出文庫