出版社内容情報
生きよ、堕ちよ……淪落と無頼を説き、焼跡の日本を風のように駆け抜けた巨人の、めくるめく精神の振幅を描破する、批評文学の名作
内容説明
「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない」…。敗戦の混乱の中、「風」のような笑いと、「石」のようなニヒリズムをもって、焼け跡を駆け抜けた巨人・坂口安吾。そのめくるめく精神の振幅を、苛烈な人生と作品群から総合的に論じる、批評文学の名作。長男・坂口綱男氏のエッセイを巻末に併録。
目次
1 安吾発見
2 作家以前
3 生涯と作品(新進作家時代;「吹雪物語」と放浪時代―戦争期;戦後乱世の時代;流行作家時代;無類‐狂気―嵐の季節;巷談師への変貌―凪の季節;歴史家、文明評論家として;晩年)
4 安吾復活
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
giant_nobita
9
坂口安吾の全作品に対する感想が収録された本。労作ではあるのだが、文庫本の解説みたいな文章の寄せ集めなので、作品を参照せずにこの本自体を独立した評論集として読むのはつらい。著者の作品評に関しては、「なぜ良いのか」という評価の理由が欠けていたり、作中の描写を安易に作者の伝記的事実の反映として扱ったり、事実と考察が峻別されず曖昧に記述されていたり、「読者」という言葉を著者とほぼ=で結べるような極めて狭い意味で用いており他者の視点がない等、論理的な瑕疵が多々ある。あと平然と探偵小説の犯人をバラすのはひどい。2020/01/26
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- 和書
- 反逆の日本史 河出文庫