内容説明
フー、きみはだれなんだい?フーは…遠くの村からやってきたらしい。フーは…自分のことがわからないようだ。フーは…バーバさんも旅先で会ったという。こそあどの森にやって来たフーをめぐる物語。
著者等紹介
岡田淳[オカダジュン]
1947年兵庫県に生まれる。神戸大学教育学部美術科を卒業、西宮市内で教師をつとめる。1981年『放課後の時間割』で日本児童文学者協会新人賞。1984年『雨やどりはすべり台の下で』でサンケイ児童出版文化賞。1987年『学校ウサギをつかまえろ』で日本児童文学者協会賞。1988年『扉のむこうの物語』で赤い鳥文学賞。1991年『星モグラサンジの伝説』でサンケイ児童出版文化賞推薦。1995年「こそあどの森の物語」1~3の三作品で野間児童文芸賞。1998年「こそあどの森の物語」1~3の三作品が国際アンデルセン賞オナーリストに選定される
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
69
シリーズ7冊目。森で起こった不思議なできごと。ホタルの再登場かな、と思ったけれど……。人の望むことをかなえてあげることが、本当にいいことなのか、という、なかなか難しい問題を考えさせてくれる。かなえる側にとっても、実はとても危ないことなんだ、ということをこのお話は示してくれた。言われてみないとなかなか気がつかないことである。最後がハッピーでよかった。2019/07/18
くぅ
26
なんだか読んでて切なくなりました。母と娘の関係をみてるような気分になっちゃって。世の中いろんな母がいるけれど、娘に対して期待値が高かったり自分がなりたかったものを叶えさせようというような願望をもった母の場合、娘はそれをひしひしと感じててもなかなか言えないし、母の期待に応えれば母の機嫌がよくなるのがわかるから…みたいなね。誰かに喜んでもらうこともそれに喜びを感じることも間違ってないけれど、それでも自分を見失わないって大切よね。なかなかに深いものを感じてしまった。2021/09/13
カール
24
久しぶりのこそあどの森シリーズ。人の心が読めて、その人のなりたいものに姿を変える事が出来るフー。でも、自分が誰かを忘れてしまう。喜んでもらいたくて人のために何かをするのはいい事だけど、自分の考えがなくなってしまってはいけませんよね。「自分のなりたいものにおなり」そう子どもに言える親でありたいけど、実際は理想の子どもの姿を望む親。考えさせられるお話でした。2017/07/23
るんるん
20
スキッパーがフーを見送る姿が素敵だな。心を読むとは、深いところで呼応しあっていること、はなれていても。わが子の優しさをふと思い浮かべた。2017/10/30
リップ
20
人の心を読み、その人ののぞむものに変身することができるフーという生き物。今作はこそあどの森に住む人々がフーと出会うお話です。会えるはずのない人に会えるのは、嬉しいことかもしれない。でもそれはやはり本物ではなくて、フーを通してその影を追っているだけ。自分自身を見てもらえないフーはどれだけ孤独を感じるんだろう。自分が見てもらえないなかで人に必要とされるために姿を変え続けるフーは痛々しくて、迷子の子供のようでした。2014/08/08