内容説明
素っ裸で城下を走り回った新吾は、番所頭の父親みずからの裁きによって、牢送りになる。牢の中には、無実の罪で捕らわれている老人がいた。裁きに疑問を抱く新吾は、仲間とともに老人の脱獄を企てる。父子の愛と葛藤、人間の影の世界を、少年の成長ともに描く。
著者等紹介
上野瞭[ウエノリョウ]
1928年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。1983年『ひげよ、さらば』で日本児童文学者協会賞を受賞。2002年没
田島征三[タシマセイゾウ]
1940年大阪府生まれ。幼少期を高知県で過ごす。多摩美術大学図案科卒業。『ちからたろう』で世界絵本原画展「金のりんご賞」、『ふきまんぶく』で講演社出版文化賞、『とべバッタ』で絵本にっぽん賞ほか受賞。1969年より東京都西多摩郡日の出町で農耕生活をしながら絵画や版画、絵本を制作、1988年から伊豆半島に移住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おぎゃ
2
最近話題になることが少ない気がするがとんでもない作家です。子離れできない親、親離れできない子、ガチガチに出来上がってしまった社会制度の中で苦しむ人間、ドラッグ依存、介護問題…40年前に江戸時代を舞台にこんな話を、しかも児童文学を書くなんて恐ろしすぎる。2022/01/22
おーね
0
作者も内容も知らずに手に取った本。15歳というこの時代ではもう大人だと扱われなければいけない年齢を間近に控えて、身近な事や藩の御法、大人の間違った解釈で起された罪の事。それぞれを抱えつつどうしようもない現実を受け入れる少年。めでたしめでたしではなかったけれど、成長小説としてとても面白かった。2011/08/11