内容説明
古墳時代、活発な交渉が行われた倭と朝鮮半島諸勢力。五、六世紀を中心に、装身具や馬具など古墳出土の朝鮮半島系遺物に詳細な検討を加え、新羅・百済・大加耶との交渉の実像を解明。また、古代史の成果を踏まえ、倭王権や地域社会が行った交渉の多様性を論じ、日朝関係史を再構築する。日韓考古学の最新成果を駆使し、両国の研究をつなぐ意欲作。
目次
序章 古墳時代における日朝関係史研究の現状と課題
第1章 古噴出土朝鮮半島系文物の基礎的整理
第2章 朝鮮半島諸勢力による対倭交渉の動向
第3章 倭の対朝鮮半島交渉の様態と性格
第4章 地域集団による対朝鮮半島交渉の様態―吉備の小田川下流域を事例として
終章 日朝関係史像の再構築とその意義
著者等紹介
高田貫太[タカタカンタ]
1975年福島県に生まれる。2005年大韓民国慶北大学校考古人類学科博士課程修了。現在、国立歴史民俗博物館研究部准教授・総合研究大学院大学准教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
6
2014年初版。既存の論文の繋ぎあわせではないところが評価できますね。これからは集落等にも目を向けられることを期待しています。2014/05/01
転天堂
0
古代日朝交流史を専門とする著者の、博士論文(原著は韓国語)をもとにした著作である。流石に「任那日本府」のような考えは今時ないと思うが、意外と考古学関連の基盤となる考え方に見え隠れするという。また一方で、広開土王碑や倭王武の上奏文をもとに考古文物を解釈するのも視野が狭くなるのだろう。博士論文という性質上、網羅的より絞り込んだ文物の徹底比較に重点が置かれているが、それでも新羅、百済、大伽耶や高句麗と倭(王権)との多層的でダイナミックな交流が浮き彫りになっていると思う。2024/04/22