出版社内容情報
かたや固い絆で結ばれた家族、かたや他人同然のライバル。立場や環境、あるいは個性や相性によって、複雑で多様な様相を示した歴史上の「きょうだい」たち。単純な仲の良し悪しでは割り切れないその関係性は、彼らの生きた社会をどのように映し出すのか。古代の天皇から昭和のスターまで、「きょうだい」にまつわる24篇で日本史をひもとく。
内容説明
かたや固い絆で結ばれた家族、かたや他人同然のライバル。立場や環境、あるいは個性や相性によって、複雑で多様な様相を示した歴史上の「きょうだい」たち。単純な仲の良し悪しでは割り切れないその関係性は、彼らの生きた社会をどのように映し出すのか。古代の天皇から昭和のスターまで、「きょうだい」にまつわる二十四篇で日本史をひもとく。
目次
古代(皇位をめぐる中大兄皇子と二人の兄弟;きょうだいからみる古代戸籍―大宝二年御野国戸籍の「兄」「弟」「妹」を中心に ほか)
中世(九条兼実と兼房・道円・慈円―院政期摂関家の同母兄弟;北条政子・義時―鎌倉幕府の礎を築いた姉弟 ほか)
近世(徳川家光と忠長・保科正之―「葵三兄弟」その明暗と愛憎劇;三井家擬制の兄弟 ほか)
近現代(旧会津藩家老・山川家のきょうだい;旧幕臣家幸田きょうだい―露伴とそのきょうだいたち ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
18
非常に面白い。「きょうだい」という視点で見る日本史というのは非常に新鮮。中大兄皇子と大海人皇子から始まり、石原慎太郎と裕次郎兄弟で終わる。どういう人選?と思いつつ、同母、異母、次代、立場など様々な要因により、協力し、争ってきた「きょうだい」たち。個人的に感銘を受けたのは“平常天皇・嵯峨天皇・淳和天皇”らは、血縁の濃淡ではなく、史料にない、十世紀を構築する前の幼少児期の出来事にも目を向けるべき、というのは興味深かった。2024/09/14
Toska
16
『恋する日本史』(https://bookmeter.com/books/17410078 )と同じく『日本歴史』誌によるユニークな企画(論集)で、今回は歴史を飾った様々な兄弟姉妹がお題。九条兼実と慈円は樋口健太郎、足利義政・義視は末柄豊、織田信雄・信孝は芝裕之など、すでにその分野で実績を残した研究者が担当しており安心感がある。全体に男兄弟ばかりで姉妹はあまり出てこないのが残念だが、最上義光・義姫(遠藤ゆり子)のパートでは兄妹が担った戦国大名間の外交が活写されている。2025/07/15
お抹茶
4
中大兄皇子・大海人皇子から石原兄弟まで,兄弟姉妹のエピソードを史料を通して語る。律令制成立の頃は,母子を生活単位とした親族を,国家が選択した戸主の下に父系で結び付けていくという人為的な編成原理が用いられた。平城,嵯峨,淳和の三兄弟の天皇は,同母兄弟の平城と嵯峨が対立的だったのに対し,異母兄弟の嵯峨と淳和は幼児期に共に育ったからか信頼関係は強かった。家光と忠長,家光と保科正之の関係は,運命が正反対。皇室の家長たる昭和天皇の皇室像は,自由な言論や戦後生活を謳歌する弟宮達とは明らかに異なった。2025/07/07
ゆう
2
きょうだいは血を分けているけれでも、親子と違って他人でもあり、いろいろな思いが交錯する。それ故に、きょうだいには、いろいろなあり方があると思っていました。この本は、そういう私の興味に沿った内容で、24ものきょうだいを描いており、また、古代から現代までを対象としており、面白かったです。 なお、どの章も、前提知識は知っていることを前提にかかれているので、時々前提知識を確認する必要はありました。2024/09/24
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