出版社内容情報
日本史史料研究会[ニホンシシリョウケンキュウカイ]
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内容説明
源頼朝が創始した鎌倉幕府のしくみは、どう理解すべきか。将軍が唯一の首長であるにもかかわらず、執権・連署を掌る北条氏が権力を握っていく。さまざまな切り口を示し、鎌倉将軍権力の実像を明らかにする道標となる書。
目次
源氏将軍(鎌倉期の「源氏の嫡流」;源頼家・実朝兄弟と武蔵国)
摂家将軍と親王将軍(非源氏将軍の登場―摂家将軍から親王将軍へ;鎌倉将軍に就いた皇子たち―京都目線から見た親王将軍;仏門に入った鎌倉将軍の子弟たち)
執権と連署(鎌倉幕府連署制の成立と展開;六波羅探題と執権・連署;極楽寺流北条氏の執権・連署)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
m__akiyoshi
4
「連署」というと執権の補佐的なイメージがあったが当初は違った。六波羅等で実務を重ねた重鎮が、その経験を生かして執権と二人三脚で政治を行っていた。また頼朝の中で次代の構想に義経も入ってたが、義経との関係がああなってしまった事により、自分が描いた構想に綻びが生じてしまった。 それにしても鎌倉幕府滅亡当日に、時の将軍守邦親王が「どこで何をしていたかも伝わってない」って…存在感無さすぎでしょ…。2019/03/07
バルジ
3
論稿の半分以上は「将軍」に関するものだったが、個人的には執権・連署制度についての考察が興味深かった。 「連署」という通説では執権の下の役職だと思われていたものが、初期の段階では決してそういった類のものではなく、執権をも凌ぐ政治的実力者が任命されていたこと。「両執権」とも言える状態が現出していたことなど、「連署」について益々興味を唆られる内容で面白い。2018/06/23
吃逆堂
2
論証の密度や到達点にムラやばらつきがあるのは、この種の企画ものではしかたのないことか。2023/05/22
茶田
2
「源氏の嫡流」とは何か?頼朝と同時代の人は頼朝を源氏の嫡流と認めていたのか?では足利氏は鎌倉時代に源氏の嫡流と認識されていたのか?などとても面白かった。また摂家将軍、親王将軍へ求められる「将軍像」の変化などなんとなくスルーしがちな鎌倉時代の将軍についても興味深く読めた。六波羅探題在職中に誅殺、戦死、病死などで死亡する人の多さには驚いた。中でも病死の多さからストレスも一因かも、って鎌倉武士すら心身やられる六波羅探題怖い。2019/04/17
眉毛ごもら
1
鎌倉幕府の権力について。頼朝が周りをひれ伏し得た源氏の嫡流は3代で潰え、摂家2代宮家2代×2と細分化し源氏の将軍以外は辞職したら京都に帰る(強制送還含む)ことも多く跡継ぎ以外はだいたい山門か寺門へ出家となるなど権威としての将軍像を期待しての招致だったようで。実際の権力を握る執権と連署は六波羅探題含め過労死なのか若年で死ぬ人が多く後継関係もあり複数の北条一門から役職を出していた。最後の執権の守時の妹が尊氏の妻の登子で血が繋がったのはなんか奇跡的。詳しく知るため将軍執権連署列伝読んで再確認しなければと思った。2021/04/04