出版社内容情報
日本文化は、独特の自然環境によって形成された基層文化の上に、大陸より漢字・仏教・儒教などを受容し、さらにヨーロッパ文化が伝来することで重層的で複雑な構造を持つことになった。神話の時代から現代に至る思想・宗教・文学・芸能など幅広い事象を講義形式で解説。文化史の時代区分に一石を投じ、今後の歴史研究のあり方に問題を提起する。
内容説明
独特の自然環境によって形成された基層文化の上に、外来文化を受容することで重層的な構造を持った日本文化。思想・宗教・文学・芸能など、幅広い事象を講義形式で解説。その複雑な性格と、豊かな内容を明らかにする。
目次
1 日本の文化と思想(日本文化の見方;神々の祭りと日本神話;仏教の伝来と受容 ほか)
2 文化史の時代区分(時代精神と文化史;文化の諸分野とその歴史;部門史を総合する試み ほか)
3 史料としての文学作品(歴史研究と文学作品;「文学作品」について;史料としてのあり方 ほか)
著者等紹介
大隅和雄[オオスミカズオ]
1932年、福岡県に生まれる。1955年、東京大学文学部国史学科卒業。東京女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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お抹茶
2
7世紀後半に次々と寺院が建立されて仏教文化が広まった。大寺院は外来文化としての権威を保つため,教学の研鑽を行った。律令の基本思想は儒家と法家であり,官人が愚昧な人民を教化することが統治だと考えられたので,官人には高度な文筆の能力が求められた。国風文化は,雅な貴族文化とともに観念的な田舎の世界を構築して都の優位を強調して成立した。本居宣長は儒教や仏教の立場を排除することで大和心に到達できると考えた。日本の仏教史は宗教史ではなく政治史の枠組みで捉えられている。史料として文学作品をどう考えるかは一様ではない。2017/11/09
果てなき冒険たまこ
0
放送大学での講義内容をまとめた内容に別媒体で発表した論説をくっつけた本。後半の論説での問題意識が何ひとつ講義内容に反映されておらず、何これ感がすごい。よくこの本を発行しようと思ったもんだ、感心しますよ吉川弘文館。1つだけびっくりしたのは明治政府が国史編纂目的で「大日本史料」の編纂と刊行は今も東大でおこなっているそうだ。ネットで確認してみたけどまぁ学者さんが作ったらしいとてつもなく分かりにくいものだったことはご報告申し上げます(笑)2021/12/08
dinsmarkuniv
0
政治や戦の歴史ばかりが日本史ではない。 海に囲まれた島国でありながら、昔から外来のものを多分に取り込んできた歴史であることがよく分かる。改めて先人の苦労というか、外国人や外国語を相手にしてきたご先祖様すげぇなと。 取り込んだものを変化発展させていく過程や、外来ではない日本固有の思想や文化については別の本も読みたい。 2018/11/17