内容説明
日本の古代政治史には、飛鳥・奈良・平安(前期・後期)の各時代を通し、一貫して独特の論理の働きがあることを見過ごしてはならない。その基調にあるものこそ、天皇制の価値観(直系主義)ではなかろうか。かかる視点から、古代政治史上の諸事件に独自の解釈を加え、新たな全体像を提起する旧版刊行後の研究成果を盛り込み、全面的に増補改稿。
目次
序章 予備的考察
第1 六世紀型の皇統形成原理
第2 八世紀型の皇統形成原理
第3 奈良時代後期政治史の基調
第4 光仁系皇統の成立
第5 幼帝と摂政
第6 光孝擁立問題の視角
第7 宇多「院政」論
結び 付論 村上天皇の死から藤原道長「望月の歌」まで
著者等紹介
河内祥輔[コウチショウスケ]
1943年北海道に生まれる。1971年東京大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程中退。現在、北海道大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katashin86
2
聖武・桓武・宇多…血統的正統性が弱いからこそ、自らの権威で皇統をつくらねばならなかった天皇が、結果として様々な事績を残していくという天皇制のおもしろさ。 皇太子たる親王に位を継がせるための中継ぎ天皇(光仁・光孝)がもともとの皇統を廃してその後自らの皇統をつくっていくというのは、ある意味王朝交代といえる。2015/01/12
帆立
1
今こそ多くの人に読んでもらいたい名著。厳密な史料批判による論証でありながら、特に道鏡擁立事件に関する第三章などはミステリを読んでいるかのように楽しめる。初めて読むのなら古代史のイメージは必ず変わるはず。2014/10/05