出版社内容情報
戦国乱世から太平の世へ、いかにして平和が実現され、列島が統合されたのか。国際交易とキリスト教政策、幕府と藩、武家と朝廷の関係、北方や琉球などを視野に収め、徳川四代家綱期までをグローバルな視点で描き出す。
内容説明
戦国乱世から太平の世へ、いかにして平和が実現され、列島が統合されたのか。国際交易とキリスト教政策、幕府と藩、武家と朝廷の関係、北方や琉球などを視野に収め、徳川4代家綱期までをグローバルな視点で描き出す。
目次
プロローグ 現代からみる近世の幕開け
第1章 世界のなかの近世日本
第2章 「豊臣の平和」と壬辰戦争
第3章 幕藩政治の確立
第4章 近世朝廷と統一政権
第5章 島原の乱と禁教政策の転換
第6章 琉球に及んだ海禁
第7章 列島北方の「近世」
エピローグ 泰平のなかでの転換へ
著者等紹介
牧原成征[マキハラシゲユキ]
1972年、愛知県に生まれる。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授
村和明[ムラカズアキ]
1979年愛知県に生まれる。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
17
豊臣秀吉から徳川家綱までの近世前期を見通した論集。「代々」の忠が重んじられる身分制、徹底した禁教と鎖国など近世的な社会がいかにして生起したかが語られる。個人的には、琉球に海禁が適用されたのかを扱った章が印象に残った。「異国」なんだけど薩摩藩に支配された土地という独特の立場が、幕府の禁制に従ったのか、薩摩藩の貿易統制なのかを曖昧にして、史料から実態を考える良い思考訓練になっている。琉球が旧来の慣行通りに朝貢品に武具も入れたら、武器の海外輸出を禁じる幕府の法令に抵触して、薩摩藩内がてんやわんやとか面白い。2023/11/20
coolflat
14
69頁。近年、政治に限らず社会のあらゆる面が東アジアの国際情勢の変容を背景に、17世紀半ばから18世紀半ばにかけて緩やかに転換していったという理解が広く受けられているが、その転換の起点となるのも同じく家綱の時代とされる。一方、家光・家綱、そして綱吉政権期を連続的に描く研究動向もある。そこでは戦乱のの終結を受け、武家社会の統合・編成が進み、幕藩領主の政治の仕組みが次第に整えられていく到達点として家綱-綱吉政権期が位置づけられる。つまり転換期とみるにせよ、確立期とみるにせよ、家綱の時代に着目する事が重要である2024/12/19
アメヲトコ
11
2023年9月刊。日本近世史の最新成果を紹介しつつ視角と問題意識の総合化を企図したシリーズで、3巻までは通史編に相当します。本巻は秀吉期から家綱期まで。琉球と蝦夷地という南北も論考として含んでいるのがよく、とりわけ近世の幕府の「海禁」は琉球に及んでいたのかという問題意識から琉球の両義的側面に迫った木土論考は大変興味深い内容でした。2024/02/19