出版社内容情報
16世紀前半、東アジア海域と京都を結ぶ山口を基盤に富を築き、列島に多大な影響を与えた大内氏。大友・尼子氏らとの戦い、毛利氏の台頭などを描き出し、分裂から統合へ向かう西日本を周辺海域の中に位置づける。
内容説明
十六世紀前半、東アジア海域と京都を結ぶ山口を基盤に富を築き、列島に多大な影響を与えた大内氏。大友・尼子氏らとの戦い、毛利氏の台頭などを描き出し、分裂から統合へ向かう西日本を周辺海域の中に位置づける。
目次
海域のなかの西日本―プロローグ
1 東アジア海域世界の展開
2 大内義興の上洛と西日本の諸勢力
3 分裂・抗争の拡大
4 大内義隆と大友義鑑の戦争
5 大内義隆と尼子氏の戦争
6 統合への胎動
7 列島周辺海域の変動
海域の変動と西日本社会―エピローグ
著者等紹介
長谷川博史[ハセガワヒロシ]
1965年、島根県に生まれる。1994年、広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。現在、島根大学教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翠埜もぐら
12
最初に琉球の話が続き??と思ったのですが、対明貿易または朝鮮との交易は山口に本拠を置く大内氏にとって経済的利益にとどまらず、西国の雄としての権威と権勢を示すもので、また倭寇に代表される密貿易のダイナミックな動きが、日本を含めた東アジア全体に大きな影響を及ぼしていくわけです。なんか私が高校生の時に習った日本史と違うなぁ。こっちの方がずっとずっと面白いわ。それにしても公卿にまで上り詰めた大内氏の滅亡の仕方があまりにもあっけなく、そして大内氏を滅ぼした陶晴賢も四年余りで毛利に討たれると。諸行無常だわ。2022/02/20
六点
10
大内氏の興亡を軸に、西日本(琉球まで!)全体を視野にいれ、その変動を描いた視点の高さと広さにまず驚く。石見銀山の発見が、大内氏の九州への深入りを呼び、ドミノのように、九州や西日本各地のステイタス・クォが変動していく。博多と石見銀山を両方領有した勢力は、大内氏以降現れないわけであるが、余りにも大きな富が、アジアやヨーロッパ勢力まで呼び寄せ、統御不能になってしまうというのはミダス王の寓話を思い出さざるを得ない。2021/06/11
MUNEKAZ
8
大内氏を中心にした、戦国前期の西国の通史。政治史を海域の変動とリンクさせた視点から、大内氏と琉球王国を旧来の朝貢体制が揺らいだ時期に、過渡的な役割を果たすことで隆盛を極めた存在として並列に捉える点は目からうろこ。貿易利潤の独占を狙った大内義隆の北九州重視・中国地方軽視の戦略は、尼子氏の台頭を招き、両勢力が海域でつながった西国の国衆と合従連衡をすることで、毛利・龍造寺・島津といった新たな主役たちが胎動する。幕府・将軍すらも相対化する大内氏の独自性はやはり強烈で、列島の16世紀前半に異彩を放っている。2020/06/29
onepei
4
私にとってはあまりなじみのなかった、西日本の戦国時代前期。興味深かった。2020/08/02