内容説明
現代の生活習慣を育んだ江戸時代の「村」。苗字・土地の所持や家格と由緒に基づき、多様で柔軟に変動する「百姓」。身分制度下の村社会を、百姓・大庄屋・郷士・被差別民らの上昇願望と差別意識などから明らかにする。
目次
村と百姓身分―プロローグ
百姓身分と家
近世の村と百姓の土地所持
創り出される由緒の家筋
郷士と祭礼の語る地域社会―「甲賀忍者」末裔の実像
大庄屋の身分格式
弾左衛門支配とその境界―東国の賎民身分と差別
被差別民と村社会
村の身分と由緒―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奇天
2
いくつかの論文は専門用語が分かりづらく読みにくかった(私の勉強不足ではあるけれど)。「御百姓」意識や由緒についてはとても興味深かった。被差別民については近代のそれとは実態が異なると思うのでその辺りをもう少し注意深く示して欲しかった。2011/01/31
wang
0
江戸時代の士農工商と呼ばれる身分制度。武士と百姓という大きな身分差のほかに村内でも様々な階層があった。それをいくつかの事例で紹介。面白かったのは、信州中野の高梨館を管理する旧高梨家家来と尾張高梨家の関係。大庄屋は百姓なのか下級武士なのかを幕府への訴訟を通じて確立しようとした事例など。ただ古文書など具体的な事件事実を元に身分の存在とそれを重視する人々の意識を浮き彫りにした章と、ただ漫然と概論を述べた章で質に違いがあり残念な部分もあった。2017/09/17
kassie
0
論文執筆にあたり必要になったため目を通したが、歴史学における由緒論研究の最近のことがまとめられていたのでそこは読みやすかった。2011/12/04
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- 洋書
- Shhh!