内容説明
日清戦争時に大本営が広島に設置され、一大軍港都市の呉が置かれるなど、「西」は近代における軍事の要であった。中国・四国各地の軍隊誘致運動や、それに伴う都市形成と諸産業の発達、市民生活との密な関係に迫る。
目次
1 軍都論(広島の都市形成と第五師団;第一一師団と善通寺;鳥取・松江の連隊誘致と陸軍記念日;軍港都市“呉”から平和産業港湾都市“呉”へ)
2 軍都の社会史(陸海軍と中国・四国・瀬戸内の経済成長;軍馬補充部大山支部と周辺農村・農民;高知県における戦没者慰霊)
著者等紹介
坂根嘉弘[サカネヨシヒロ]
1956年、京都府に生まれる。1978年、京都大学文学部卒業。1984年、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。現在、広島修道大学商学部教授、農学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
36
広島、善通寺を中心とした中国、四国の軍都について解説がなされている。広島は陸軍の船舶や第5師団が有名だが、陸軍病院が日露戦争時にアメリカやイギリスから高く評価されたらしい。しかし原爆投下時点では病院と商人の癒着で疎開が間に合わなかったらしい。善通寺は『肉弾』の22連隊があった第11師団が有名だが、第55師団はビルマへ、独混第38旅団がグアムへ行ったそうである。岡山には第17師団が軍縮で消えたが、日中戦争で復活し、ニューブリテン島へ行った。2023/07/30
mazda
21
地域が軍備とどのように関わってきたのか、興味深いものがあります。呉などは、軍事技術を造船に路線変更できたいい例だと思います。2015/01/12
sou65406459
1
瀬戸内の軍隊と産業のかかわり、山陰での牛社会のなかでの軍用馬生産、日本海側での徴兵の実態...と、軍隊と民間のかかわりについて、称賛するでも批判するでもなく、ただただ起きたこととその影響について述べられていて非常に参考になった。コラムの缶詰談義や、和牛種の話も裏話として非常におもしろいので是非。2018/11/30
相馬
1
これは「中部編」より面白かった。特に糧食としての牛缶、及び広島での缶詰産業の話とか、大山における軍馬補充部の失敗とか。牛缶(大和煮)と民間用の牛肉の違い、牛缶生産拡大による駄牛食いつぶしの為に、逆に優牛が残り、1944年に黒毛和種が固定されたとか、広島が缶詰生産の85%占めてたとか、西日本特に大山では馬より牛が多用されていたとか、現金収入も軍馬補充部よりも養蚕業の方が良かったとか、特にコラムが知らない話ばかりで、面白くて良かった。2015/01/14
onepei
0
「産業」としての軍隊が興味深い。続巻にも期待。2014/11/17
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