内容説明
戊辰戦争最後の激戦となった箱館戦争。新政府軍と戦い敗れた榎本武揚ら旧幕臣たちは、維新後の「明治」をどのように生き抜いたのか。国家の将来に心を砕き、日本の近代化に多大な役割を果たした「敗者」たちの後日譚。
目次
1 箱館戦争断章(戦争の顛末;反抗のかたち;降伏と処分)
2 生き残りたちのその後(静岡藩への帰属;再始動;消えた敗残者)
3 冤への道(明治新政府への参入;民間で築かれた足場;徳川家の名誉回復)
4 戦友の再結集(碧血会とその周辺;後進の育成;慰霊のいしぶみ;敗者がつむぐ歴史;国家との一体化)
著者等紹介
樋口雄彦[ヒグチタケヒコ]
1961年静岡県に生まれる。1984年静岡大学人文学部人文学科卒業。現在、国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウンテンゴリラ
1
歴史的変遷としての、人命に対する寛容性からか、或いは新政府側の人材不足のせいか。本書で描かれるように、戊辰戦争を戦った旧幕臣の多くが助命され、新政府でも重要な任務、地位を得たというのは、ある程度聞き知っていたが、その意味を考えることはなかった。本書を読んで、その結論が示されたわけでも、自分なりに納得のいく結論に至ったわけでもないが、その要因の一つとして、新政府、或いは旧幕臣も含めた双方に、とも言えるかもしれないが、単に国内での勢力争いではない、日本国の危機が共有されていたのは間違いないように思う。→(2)2022/06/10
wuhujiang
1
幕府旧臣、中でも榎本武揚に代表される箱館戦争経験者が明治の時代でどのように活躍したかを紹介した本。先進技術に長じた旧幕臣がいかに明治の時代で生き残り反映していったかがわかる。少し残念なのが旧幕臣の功績が細切れに紹介されていたので、例えば題名にもなっている「榎本武揚について知りたい」という人むけではなかったなと。逆に多数の旧幕臣が紹介されたことで、どのような経緯で「徳川の臣」から「国民」になったのかわかった点は良かった。2021/04/03
wang
0
幕末最後の戦争。賊軍とされた旧幕臣たちが敗戦後どのような人生を歩んだのか。明治政府の高官として活躍した榎本武揚や大鳥圭介は有名だが、他の多くの者も同様に活躍した。最先端の教育を受けて来た幕臣たちは、新政府でも貴重な人材。中枢や技術力の重要でない部門では薩長の藩閥が幅を利かせたが、工兵砲兵海軍測量などの分野では重要な役割を果たした。それ以外でも教育分野で幅広く重用され、明治日本の建設に彼らが不可欠な存在であったことがわかる。また3百万石から7十万石に減った中、子弟の教育を特に重視してきた姿勢も。2013/08/29
onepei
0
なんだかんだ言っても、榎本武揚は旧幕臣のまとめ役になってしまったのだな。2012/12/01